「ITのプロはすぐにテクノロジの議論を始めるが、成功したいなら間違っているアプローチだ。まずはエコシステムの戦略を考えよ。こうして初めて、正しいテクノロジ投資の判断ができる」
3月15日、「ガートナー エンタプライズ・アプリケーション戦略&アプリケーション・アーキテクチャ サミット2018」のオープニング基調講演に、ガートナーのリサーチ部門でバイスプレジデントを務めるDennis Gaughan(デニス・ゴーハン)氏が登壇。「デジタル・プラットフォームを構築してビジネス・エコシステムに投資せよ」と題して講演した。

ガートナーのリサーチ部門でバイスプレジデントを務めるDennis Gaughan(デニス・ゴーハン)氏
テクノロジによって実現するビジネス、すなわち“デジタルビジネス”が拡大している。しかし、「テクノロジだけではデジタルビジネスで成功することはできない」とゴーハン氏は指摘する。「ビジネスのエコシステムを実現するために、どのようなテクノロジが必要なのか」という視点が重要になる。
しかし、ビジネスエコシステムの構築は、一筋縄ではいかない。年々、エコシステムが複雑化しているからだ。ガートナーが実施したアンケート調査によると、今後2年間でパートナは2倍以上に増え、今後3年間で中間業者は2倍に増え、他業界に属する企業との関与は3倍に増える。
企業の50%がプラットフォーム戦略に注力
講演ではまず、デジタル時代においてビジネスエコシステムがなぜ重要なのかを説いた。ゴーハン氏によれば、ビジネスエコシステムは4つの力で成り立っている。(1)相互接続、(2)プラットフォーム型のビジネスモデル、(3)情報、(4)コラボレーションだ。
(1)では、モノ同士をつなぐ相互接続が増大し、大きなチャンスになっている。2020年までに300億のデバイスがネットにつながり70億人がネットに参加する。CIO(最高情報責任者)への調査では、企業の79%がビジネスエコシステムに参加済みだ。事例の1つにコネクテッドカーがある。
(2)では、プラットフォーム型のビジネスモデルが台頭している。ガートナーでは、2018年までに企業の50%がプラットフォーム戦略に注力すると予想している。事例として、NetflixやAirbnbがある。
(3)では、情報が最も価値のある資産になる。CEOへの調査では、企業の81%が、高度なアナリティクスを企業を変革する主要なテクノロジとして評価している。
(4)では、人口問題などの大きな課題に対しては、コラボレーションによる対応が必要になる。2030年までに世界の人口が10億人増加する一方で、2020年までに40の地域で労働人口が10%減る。