ITを活用すれば13時間の労働時間を8時間に短縮できる
動労時間を短縮するための効果的で現実的なシナリオは、テレワーク、メール依存からの脱却、会議の効率化、その他だ。志賀氏は、これらによって1日あたりの労働時間が13時間から8時間へと5時間短縮するシナリオを示した。
一般的な社員の労働時間(および短縮後の労働時間)は以下の通りだ。通勤は2時間(0時間)、メール処理が2時間(30分)、会議・打ち合わせが2時間(1時間)、コア業務が2時間(2時間)、付帯業務が5.5時間(4.5時間)、になる。
ワークスタイル変革の本丸はテレワークだ。テレワークによって、通勤時間の2時間を削減できる。プレゼンス(存在確認)、勤怠管理、テレビ会議などのツールが有効だ。ただし、企業文化の問題から、実施の難易度は高い。目的は福利厚生ではなく生産性の向上にあることを忘れてはならない。
テレワークを導入して効果を挙げた事例として志賀氏は、日本航空とユニリーバの例を挙げた。日本航空は間接部門を対象にテレワークを導入し、残業時間を2割削減した。これにより、新卒入社で30代の女性総合職の定着率が3割から8割超へと改善した。
ユニリーバでは、全社員を対象にテレワークを導入した。日数制限もなく、どこでも勤務可能とした。朝6時から夜21時までの間で、自由に勤務時間や休憩時間を決められる。成果の1つとして、働きやすさややり甲斐を感じる社員が増えたほか、社員がタスクマネジメント能力を身に付けた。