松岡功の一言もの申す

富士通とNEC、新年度業績予想「減収減益」の“異常事態” - (page 2)

松岡功

2018-05-01 10:00

両社首脳のリーダーシップが問われる2018年度に

 両社の首脳もそのことは重々承知のようだ。富士通の田中達也社長は決算会見で、「これまで事業ポートフォリオの見直しによる“形を変える”取り組みを着実に進めてきた成果が2017年度の利益向上に表れた。一方で、事業の中身の“質を変える”取り組みについては、2017年度において改めて課題が浮き彫りになった」と説明。その課題として、先行投資のリターンが不十分なこと、ネットワーク事業において市場環境の変化への対応が遅れたこと、想定以上に不採算が拡大したことの3つを挙げた。


富士通の決算会見。左から田中達也代表取締役社長、塚野英博代表取締役副社長/CFO

 その上で、「多額のマイナス影響を及ぼしたことに強い危機感を抱いており、2018年度は改めて徹底した対策を講じる。将来的な成長を見据えて、より厳格な投資の集中と、改革を必要とする事業領域の体質強化に躊躇なく手を打っていく」と強い口調で決意のほどを示した。

 一方、NECの決算会見は富士通と同じ時間帯だったので筆者は直接取材できなかったが、報道によると、新野隆社長が「2018年度は構造改革をやり切り、2019年度以降につながる成長の第一歩となる年にしたい」との決意を示したという。ちなみに、図3に示した2020中期経営計画のロードマップでは、2018年度を節目に成長軌道に乗せる計画だ。


図3:NECの2020中期経営計画のロードマップ(出典:NECの資料)

 筆者はかつて尊敬する経営者から、「新年度の業績予想において当初から減収減益の計画を立てるのは、どんな事情があるにせよ、経営者として恥ずべきことだ。それでも打ち出すのなら、それがどれほど異常事態であるか、その危機感を社内の士気に変える努力を自ら先頭に立って誠心誠意行うべきである」と聞いたことがある。

 果たして、富士通の田中社長、NECの新野社長のリーダーシップはどうか。その手腕に注目しておきたい。

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