ServiceNowが5月7日から、米国ラスベガスで年次イベント「Knowledge 18」を開催している。実質上の初日となる5月8日の基調講演では、2017年4月にプレジデント兼最高経営責任者(CEO)に就任したJohn Donahoe氏が、「将来の仕事の姿を一緒に作ろう」と呼びかけた。
職場のレボリューションが起こる―――中心は人
ServiceNow プレジデント兼CEOのJohn Danahoe氏
同社は、ITサービスマネジメント(ITSM)をクラウドベースで提供するSaaSベンダーとして2004年に創業した。その後、ITSMの技術をベースにカスタマーサービス、セキュリティ、人事(HR)などと拡大してきた。プラットフォームとしての戦略を進めるにあたり、eBayのCEOなどを歴任してきたベテランのDanahoe氏を迎え入れ、新たなフェーズに入っている。
その勢いを示すかのように、Knoledgeの登録者は1万8000人に上り、このうち8000人が初参加という。会期中、顧客がナレッジを共有するセッションが400以上用意されている。
2回目のKnowledgeのステージを踏んだDanahoe氏は、まず「職場で革命が起こる」と予言する。初代iPhoneの登場からちょうど11年目となるが、この10年はiPhoneを始めとしたデバイス、サービスにより、コンシューマー分野で革命が起こったとDanahoe氏は振り返る。前職のeBayでそれを経験してきたというが、職場はどうか?――週末や仕事以外の時間はAmazonのAlexaに話しかけて情報を取得したり、Google Mapsなどの便利なアプリを使ったりしているのに、職場ではまだだ。「クラウドベースのサービスが、(自宅と職場の)ギャップを埋める」とDanahoe氏。「これから3~5年は職場で革命が起こる」と続けた。
ServiceNowは仕事や作業をトランスフォームするための技術を提供する。「我々はパートナーとして長期にわたって共に実現したい」と、Danahoe氏は集まった顧客やパートナーに呼びかけた。同氏によると、優れた企業は(1)目的、(2)戦略、(3)文化――の3つが明確だという。基調講演では、ServiceNowにとっての目的、戦略について説明した。
目的は、創業者のFred Luddy氏が創業時に打ち出した“普通の人が効率よく仕事をやりとりできるクラウドベースのプラットフォームを構築する”が、今でも中核だという。これを現在の文脈に当てはめ、新しいスローガン“We make the world of work, work better for people(新しい仕事の世界を作る。もっと人間のためになる)”を発表した。中心は、技術ではなく、人だ。これに合わせ、ロゴも変えた。新しいロゴでは、Nowの“o”がこれまでの電源ボタンから人をイメージしたものになっている。「技術だけでは仕事を変えることはできない」とDanahoe氏。
Knowledge 18では新しいロゴも披露した
加えて同氏は、「我々は目的を持った目的主導型の企業だ。この目的が差別化になる」と語る。
戦略では、聞く(listen)、学ぶ(learn)、行動する(act)を繰り返すのが、ServiceNowのフォーミュラだ。“聞く”では、業種や地域を問わず、どの企業も最優先事項がデジタルトランスフォーメーション――ソフトウェアにより崩壊される前に、どうやって技術を使って攻撃し、有利に進めることができるか――だという。
ServiceNowへのニーズとしては、(1)実装のベストプラクティスを知りたい、(2)ユーザー体験の改善――の2つが、多く挙げられるという。(1)では、実装ベストプラクティスを改めて整理し、以下の4点を挙げた。
- カスタマイズなしに(または最小限に)そのまま実装する
- 最低でも年1回はアップデートする、などのガバナンスを持つ
- チェンジマネジメントへの投資
- ビジネス上のアウトカムを加速する
このベストプラクティスにより、「顧客体験が10ポイント改善(サポートNPS:ネットプロモータースコア)し、セキュリティリスクを削減し、レスポンス時間が45%改善し、アプリ構築の時間が3分の1になる」などの効果があるという。コストにして、最大1100万ドルの削減も可能とDanahoe氏は述べる。ここでは合わせて、カスタマーサクセスチーム、カスタマーサクセスセンターなどの取り組みも紹介した。
(2)では、機械学習、チャットボット、デザイン企業などの買収を重ねているとDanahoe氏、「素晴らしいユーザー体験をユーザーと共に構築する」と述べる。2日目以降の基調講演で詳細を説明する予定という。