テレビショーのようなセキュリティトレーニング? Accentureが語る将来のCIO
基調講演の後半は、ServiceNowのパートナーであり、社内でも採用しているAccentureの最高情報責任者(CIO)Andrew Wilson氏が、CIOの役割などについて話をした。
AccentureのCIO、Andrew Wilson氏(右)とServiceNowの最高レベニュー責任者、David Schneider氏
Wilson氏は、「CIOの役割が変わっている」と述べる。「クラウド、自動化、アナリティクスなどの技術により、動きがますます速くなっている。必要なスキルを再定義しなければならない」と見るからだ。単にユーザーインターフェース(UI)や体験にとどまらず、技術の外で起こっている深い変化がCIOの役割に変化をもたらしているとする。
これまでITといえば、コーディングやデータセンターの管理が主な役割だったが、「デジタルトランスフォーメーション戦略は技術、タレント(人材)、チェンジマネジメントが重要になる」とWilson氏。成功には、データサイエンティスト、チーフエクスペリエンスオフィサー(最高エクスペリエンスオフィサー)などの人材、デザインシンキングなどの新しい考え方が求められると続ける。
Wilson氏の糸口は「アウトカム」だ。「アウトカムベースで考える必要がある。口で言うのは簡単だが、単にウェブサイトのUIを変更すればいい、と言うものではない」と言う。
IT部門の仕事として、次々と入ってくる社員に対して、魅力的で、リテンションにつながる技術の提供は不可欠だ。ミレニアルが過半数を占めるという同社では、「端末に話しかけて情報を取得し、NetFlixやYouTubeを観て職場に来る。職場のサービスも同じようにするのが我々の仕事だ」と言い切る。YouTubeとNetflixは、ナレッジを共有する新しい方法になっているとWilson氏は述べ、「テレビショーのようなセキュリティトレーニングを提供したい。好きな時に繰り返し再生できる。もっと面白く、インタラクティブなものを提供する必要がある」と述べた。
ServiceNowについては、Wilson氏とAccentureにとって「エクスペリエンスアーキテクチャを実現しているプラットフォーム」と形容する。同社はServiceNowを始め複数のプラットフォームを構築しており、「自分の仕事は、これらプラットフォームがきちんと機能し、役割を果たし、クラウドでクロスプラットフォーム統合を実現し、クラウドネイティブなサービスを提供すること」とした。「コミュニケーションするために、ウェブサイトもメールも必要ない」とも述べる。
デジタルトランスフォーメーションを図る企業への具体的なアドバイスを聞かれたWilson氏は、次のように答えた。
「データサイエンティストなどのタレント(人材)、自社で構築・成長できないスキルへのアクセスを提供するプロバイダ(エコシステムパートナー)を探すこと。技術、人材、チェンジマネジメント、そしてコミュニケーションの計画を立てること」
ServiceNowのDanahoe氏は、最後に「仕事の将来は我々が定義できる。人間が中心の方法で、技術を利用して生活の質を強化できる」と述べる。一方、ITの役割は単に技術の開発と提供から変わりつつある。「企業全体、文化を変えることは難しい。ITは変化を加速し、大きなインパクトを与えることができるが、これは未踏の作業だ。イノベーターになる必要がある」とし、コミット、勇気、辛抱強さと回復力で共にイノベーションを進めようと会場に呼びかけた。