海外コメンタリー

成功するIoTとは--ロールス・ロイスのやり方 - (page 2)

Mark Samuels (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2018-05-16 06:30

 「IoTが有意義なのは、未知のプロセスを可視化することで、ビジネスメリットが生まれると分かっている場合だ」とGorski氏は言う。

 「無闇にセンサを入れようとするだけでは、どこにもたどり着けない。費用が掛かりすぎるし、緻密さに欠ける。Rolls-Royceでは、IoTソリューションでデータを可視化することで、業務上大きなメリットが生まれる場所を選んでいる。それがIoTの導入を成功させるためのわたしのコツだ」(Gorski氏)

 Gorski氏は、ほかのITリーダーに対するアドバイスとして、自社の業務を分析して、データに透明性がないために問題が生じている箇所を把握すべきだと述べている。同氏はこれまで、大がかりなセンサ導入プロジェクトをいくつか見てきたが、多くの場合、それらのプロジェクトを正当化することは難しかったという。

 「そういったプロジェクトは、実現するには費用が高すぎるという結論になる」とGorski氏は言う。「データを送信するにもコストがかかる上に、つぎはぎの情報しか得られない場合が多い。IoTの機器導入には決まったやり方はなく、さまざまなサプライヤーの技術を組み合わせて、技術を作り出す必要があることを知っておくべきだ。その立ち上げの作業にも費用がかかり、複雑さが生じる」

 同氏はそれまでの経験によって、正しいデータを得るのが難しい領域を見つけることが重要だと考えるようになった。

 「IoTを最大限に活かしたいのであれば、まず最初に、組織のどこで不透明性が問題になっているかを考える必要がある。なぜならその場所こそが、投資に見合う価値が得られる場所だからだ」とGorski氏は述べている。

世界中から必要な人材を探す

 最近ロンドンで開催されたイベント「Big Data World」で米ZDNetの取材に応じたGorski氏は、R2 Data Labsは、プライベートジェット運用会社や輸送会社などの顧客と協力して、新たなサービスを生み出していると話した。

 「現在生じている問題と、潜在的な解決方法のバランスが重要だ。その間は、いつもすんなり繋がるわけではない」と同氏は言う。「幸い、一度優れたビジネスケースが見つかれば、それをアプローチが正しいことを示す証拠だと考えることができる」

 Gorski氏は、R2 Data Labs内に、Rolls-Royceと協力できる潜在的なパートナーを世界中から探す(個人的な起業家の場合も、最先端の企業の場合もある)ための専門家チームを設けている。

 「R2 Data Labsには、データのイノベーションの分野、特にAIや最先端のアナリティクスに関しては、必要なすべてのスキルセットを社内だけで調達するのは無理だという認識がある」と同氏は言う。「それには時間も費用も掛かりすぎるし、そうした能力を持つ人材の需要は非常に高い」

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