Gorski氏のチームは、スキルのギャップを埋めるために、パートナーと協力関係を結んでいる。協力の形式は、R2 Data Labs内の専門家セルの一部としてという場合もあれば、ジョイントベンチャーの契約を結ぶ場合もある。この社内の人材と社外の人材の混成チームは、4つの技術分野に集中的に取り組んでいる。4つの分野とは、産業用IoT、自律性とセンシング、ブロックチェーンと量子コンピューティング、AIと先進的なアナリティクスだ。
顧客のためにデータを生かす
チームの成果を説明するには、事例を挙げるのが一番いいとGorski氏は言う。同氏が例として挙げたのは、エンジンや正常性監視システムからIoTのセンサデータを取り出し、その記録をエンジンの開発者や利用者が参加するソーシャルネットワークと組み合わせるツール「Engine Network」だ。
Rolls-Royceのエンジニアや、顧客のプライベートジェット管理会社は、このデータを使ってエンジンの運用成績を分析することができる。このプラットフォームには、問題が生じる前にエンジニアがその存在を把握できるよう、積極的に問題を提示する、AIベースのレコメンデーションエンジンが組み込まれている。
「このレコメンデーションエンジンは、異常を発見し、同様のパフォーマンスで動作しているほかのエンジンのパフォーマンスの数値と比較することができる」とGorski氏は言う。「この積極的アプローチは、当社の保守コミュニティーや、当社のジェット機を購入している顧客に巨大なメリットをもたらしている」
Gorski氏はまた、船舶事業の先端的な仕事で、R2 Data LabsがIoTセンサを使って船舶の運用成績を追跡した事例にも言及した。同チームは、この情報を市場から得られた幅広い文脈データと組み合わせることで、Rolls-Royce製エンジンの船舶を運行するクルー向けの、燃料効率ガイダンスポータルを作成した。
このポータルは、何度かのイテレーションを経て構築されたという。最初の導入には約6カ月かかり、それ以降の修正はリリース後に行われた。このポータルは現在、安全なクラウド上に置かれており、Rolls-Royce製品の所有者にデータを提供している。
「当社の船舶を動かしている船長は、燃料を節約するための方法や、効率的に航海する方法、厳しい海象条件への対処法などのメッセージをリアルタイムで受け取ることができる」とGorski氏は言う。「この種の知見は、船団を運用する上では極めて革新的だ」
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。