アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWS)は5月30日から3日間、都内で年次カンファレンス「AWS Summit Tokyo 2018」を開催している。初日の基調講演では、社長の長崎忠雄氏が2017年度比の売上成長率が49%と大幅な成長を続けていることをアピールした。
アマゾン ウェブ サービス ジャパン社長の長崎忠雄氏。210のセッション、59のお客さまセッションがあることなど、イベントとしての充実ぶりを強調する。
さらに、KDDIやソニー銀行、ABEJA、SOMPOホールディングス、デンソーのゲストスピーカーが登壇。ソニー銀行の福嶋達也氏は「クラウドファーストからクラウドオンリーへとさらなる変化が訪れている」と話すなど、既存システムと新規システムのいずれにおいても、クラウド移行の波が来ていることを強調した。
登壇したKDDIの理事 技術統括本部の中島昭浩氏は、KDDIのクラウド活用について「プライベートクラウドとパブリッククラウドの利点を用途別に使い分け、必要に応じて組み合わせることで、ハイブリッドクラウドを構築している」と話す。
ビデオパスやブックパスなどのパス系サービスのほか、auでんき、auHOME、KDDI IoTクラウド API Marketなど、50以上のサービスの基盤としてAWSを採用している。
2016年9月のiPhone 7/7 Plusから2017年9月のiPhone 8/8 Plus、2017年10月のiPhone Xに至るまで、iPhoneの予約サイトへのアクセスは増加しており、ピークトラフィックに対処するためのキャパシティプランニングが必要になった。
AWSを採用したことで、処理性能はそれまでのシステムの4.8倍に上がり、インフラ工期は10日程度で済むようになった。
今後、AWSに望むこととして中島氏は「AWS内外で発生した障害情報、特にネットワーク関連のものを、リアルタイムに共有してほしい」と述べた。また、現在、ローカルリージョンと位置づけられている大阪リージョンを正規リージョンに格上げしてほしいとの要望を掲げた。シンガポールなど海外でなく、国内での完全なるBCP拠点として活用することや、大阪リージョンの単独利用を実現したいという。
基調講演では、新サービスの発表もあった。AWSが7月に提供するのがファイルストレージサービス「AWS Elastic File System」だ。複数のEC2インスタンスとオンプレミスのサーバ間で、1つのファイルシステムに同時にアクセスできるようになる。
Elastic File Systemは、アプリケーションを中断せずに、要求に応じて伸縮自在に拡張するのが特徴。ファイルの追加や削除に合わせて、ストレージ容量が自動的に拡張、縮小するため、必要な時に必要なだけのストレージをアプリケーションで利用できる仕組みになっている。
もう1つの発表は、スタートアップ企業の支援施設として「AWS Loft Tokyo」を、10月にアマゾンジャパン合同会社とアマゾン ウェブ サービス ジャパンが新たに入居する目黒セントラルスクエアに開設するという内容だ。
AWS Loftは、開発者やエンジニア、起業家のAWS活用や起業を支援するための拠点となる。アジアで初となる東京の拠点は、ニューヨーク、サンフランシスコに次ぐ3カ所目の常設拠点だ。来場者は、各種トレーニング、セミナー、ミーティング、テクニカルハンズオンなどさまざまなイベントに無料で参加できる。さまざまな業種や規模の企業が出会い、新ビジネスの創発を支援するマッチング基盤の機能も目指すとしている。
下では、基調講演の様子を写真で紹介する。