デジタル変革では、デジタル技術を使ってビジネスモデルと業務プロセスを改革し、より効率的で効果的なものにすることが求められる。古くからある大企業では、デジタル変革プロジェクトが、競合する動きが速いデジタルファースト企業と戦うための手段となる場合も多い。
特に小売業界では、事業のデジタル変革にはいくつもの形が考えられる。小売業界は規模も影響範囲も極めて大きく、普通の消費者の日常生活に目に見える影響を及ぼす数少ない業界の1つだ。
しかしこの業界は、新しい技術を取り込むのに時間がかかることでも知られており、多くの小売企業は、もともと極めて薄い利益幅を圧迫することを恐れて、従来の業務のやり方を維持し続けている。Oxford Economicsの最近の調査によれば、企業規模でデジタル変革プロジェクトを完了した小売企業は、全体の3%にすぎないという。だが、まだテクノロジの環境が整い始めたばかりの現在の状況では、数字が低いのも当然かもしれない。この記事では、小売企業の本格的なデジタル変革を支援するテクノロジプロバイダーを10社紹介する。
Salesforce
Salesforceは一般に顧客関係管理(CRM)ソフトウェアで有名だが、小売企業が利用できる一連のしっかりとしたサービスも提供している。Salesforceの小売業界向け製品に共通しているのは、ネットワークを生かしたパーソナライズされた体験を、あらゆる顧客との接点(これには、モバイル、ウェブ、ソーシャルメディア、実店舗が含まれる)で提供することを目指しているという点だ。同社の最新の小売業界向け製品では、Instagramとの統合によるショッピング中のマーケティング、AI、同社の「Commerce Cloud」および「Marketing Cloud」との連携に力を入れている。
Salesforceの小売業および消費者向け製品産業ソリューション担当シニアバイスプレジデントShelley Bransten氏によれば、その狙いは、ブランドが消費者の需要に追随し、消費者のニーズを個人レベルで理解するのをテクノロジによって手助けすることにあるという。
「小売業の世界は、さまざまな面でわれわれの想像を超えており、これまでとは違うものになっている」とBranstein氏は言う。「Salesforceは、統合プラットフォームによってあらゆるチャネルでインテリジェントなショッピング体験を提供し、買い物客の成功に至る最短経路を確保することで、小売企業の未来を形にする」
Shopify
Shopifyは商店主や起業家、小売ブランドがオンライン上や実店舗で商品を売るためのeコマースプラットフォームを提供する企業だ。同社のコマース技術には、パーソナライズされた顧客体験の提供やブランドの掘り下げ、ゲーミフィケーション、ソーシャルコマースなどに関するものが含まれる。同社は小規模ビジネス向けのサービスを前面に押し出しているが、ミッドマーケットや大手小売企業向けのサービスも提供している。