アマゾンとAWS、東京・目黒に新設した「第3のオフィス」を公開

阿久津良和

2018-09-20 06:00

 アマゾンジャパンは9月19日、都内3カ所目となる新拠点の目黒セントラルスクエアオフィスを記者向けに公開した。併せてAmazon Web Services(AWS)の世界で3カ所目となる「AWS Loft Tokyo」およびAWS顧客の革新を支援する空間「AWS Digital Innovation Lab」を10月1日から提供すると発表。アマゾンジャパン 社長のJasper Cheung氏は、「社員の働き方を分析した結果をもとに体と心に配慮したデザインを施し、フリーアドレス制を採用した。(新オフィスでの活動を通じて)パートナーの成長機会を醸成したい」と述べた。

NPO法人「キッズドア」理事長の渡辺由美子氏、衆議院議員の平井卓也氏、アマゾンジャパン社長のJasper Cheung氏、メルカリ メルペイ プリシンパルエンジニア・マネージャーの高橋三徳氏、アマゾン ウェブ サービス ジャパン代表取締役社長の長崎忠雄氏(左から)
NPO法人「キッズドア」理事長の渡辺由美子氏、衆議院議員の平井卓也氏、アマゾンジャパン社長のJasper Cheung氏、メルカリ メルペイ プリシンパルエンジニア・マネージャーの高橋三徳氏、アマゾン ウェブ サービス ジャパン代表取締役社長の長崎忠雄氏(左から)

 アマゾンジャパンは、既に都内の「目黒雅叙園」に併設するアルコタワーと別棟のアルコタワーアネックスに入居しているが、第3の拠点として目黒セントラルスクエアを選んだ。新オフィスはフロア面積が約2万平方メートルを数え、AWSやPrime Video、Amazon Music、Kindleチームなど約2000人の社員が勤務する。関係者によれば、各チームが連携する会議などは各オフィスを行き来するという。

 新オフィスについてAWSジャパン 代表取締役社長の長崎忠雄氏は、「働く社員が自宅やカフェでリラックスするため、600種以上の植物を盛り込んだ。各所で自然発生的に会話やミーティングが始まり、新たな付加価値の提供や意思決定を現場で実現するような、顧客価値の発展拠点としたい」と語った。オフィス内には終日利用可能なカフェテリアや、母親社員向けの搾乳室、多様な宗教を信仰する社員向けの礼拝室、最大20分の休憩を可能にした「クワイエットルーム」、オールジェンダー向けのトイレやシャワールームなどを供える。

 来賓として衆議院議員の平井卓也氏も訪れ、「日本は2つの課題を抱えている。高齢者社会を迎えるにあたりデジタルデバイドが発生するため、社会保障制度全般の改善が必要。また、ウォーターフォール(のシステム)に対応可能な保守担当者も減少傾向にある。これらの問題を解消するため次期国会では、高齢者にも優しいデジタル社会を実現するため、デジタルファースト法案の提出を予定している。クラウド・バイ・デフォルトで、システム調達の方法も根本から変えたい」と述べた。

 この他にも多くのゲストが新オフィスを訪問。メルカリ メルペイ プリシンパルエンジニア・マネージャーの高橋三徳氏は、「現在はAWSなしに新規サービス開発は考えにくい。AWSはクラウド・バイ・デフォルトでサービスを作る風土を率先して作った。立ち上げ直後のスタートアップはオフィスを借りるのも一苦労なため、(AWS Loft Tokyoなどを借りる)スタートアップが次々と登場するのは楽しみ。(アマゾンジャパンの)スタートアップ支援も期待したい」と語る。

 「貧困層の子どもたちはデジタルデバイドにさらされている。プログラミング教育必修化に伴い、経済格差がITスキル格差へつながり、ある高校生は大学入学試験のエントリーにPCが必要と、事務所を訪れたこともった。2017年からSTEM(科学、技術、エンジニアリング、数学)教育支援に取り組み、AWSにも多くの協力をいただいた」(NPO法人 キッズドア 理事長の渡辺由美子氏)というように、期待や感謝の声が集まった。

 なお、アマゾンジャパンはキッズドアに対して、STEM教育プログラムへの寄贈を発表。資金支援やデバイスおよびSTEM教材などを提供し、社員ボランティアによる協力を行う。Cheung氏は、「子どもたちの可能性を広げたい。寄付を通じて日本の未来にコミットする」と理由を述べた。

 アマゾンジャパンによれば、スタートアップや開発者による技術学習やコーディング、交流を図る空間として、期間限定の「Pop-up Loft」と永続的な「Permanent Loft」の2種類を展開しており、後者の拠点に当るAWS Loft Tokyoは、サンフランシスコやニューヨークに続く3カ所目となっている。AWSアカウント所有者は予約不要で無償使用できるコワーキングスペースや、AWS技術者のアドバイスやシステム構成のレビューを得られるAsk An Expertを設置する。最新技術の紹介やハンズオン、ミートアップなどのイベント開催を予定している。

 AWS Loft Tokyoの公開について、AWSジャパン スタートアップ事業開発部 プリシンパルマネージャーの畑浩史氏は、「日本のスタートアップは渋谷・五反田・六本木に多く、目黒駅前という好立地を鑑みて開始した」と語る。また、メルカリの高橋氏が言及したスタートアップ支援についても、「AWSはスタートアップとともに成長してきた。支援しないという意見は、社内に存在しない」(畑氏)という。

 AWS Loft Tokyo内に設置したAWS Digital Innovation Lab(DIL)は、先端技術に触れるデモンストレーションやハンズオンを提供し、顧客支援を行う革新的空間と位置付ける。AWS ジャパン 技術統括本部長 技術統括責任者の岡嵜禎氏は、「DILではクラウドサービスを顧客自身のプロダクトとつなげる『AWS Cloud/IoT ML Services』、SA(ソリューションアーキテクト)の橋渡しで顧客のイメージを可視化する『Prototyping SA』、動画を利用したオフィスIoTやAR(拡張現実)による保守業務の効率化など具現化する『Customer Product/Service』を提供する」と説明した。

AWS技術統括本部長 技術統括責任者の岡嵜禎氏(左)とスタートアップ事業開発部 プリシンパルマネージャーの畑浩史氏
AWS技術統括本部長 技術統括責任者の岡嵜禎氏(左)とスタートアップ事業開発部 プリシンパルマネージャーの畑浩史氏
フリーアドレスのため、アマゾンジャパン社員は好きな場所で自由に働けるという(写真提供:アマゾンジャパン)

フリーアドレスのため、アマゾンジャパン社員は好きな場所で自由に働けるという(写真提供:アマゾンジャパン)

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