VMWorld

クラウドネイティブを意識するVMware--AWSとの関係の深化に見る将来像

大河原克行 2018年09月18日 07時00分

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 VMwareが8月に開催した「VMworld 2018」では、とにもかくにもさまざまな製品やサービスが発表された。ちょうど創業20周年の節目でもあり、その点では節目を象徴する内容になったといえるだろう。

 しかも、開催2日目の基調講演をノーベル平和賞を受賞した人権運動家のMalala Yousafzaiさんとの対談やユーザーによる事例紹介で構成したこともあり、初日の基調講演に全ての製品・サービスの発表を集中させた。初日の基調講演終了後、VMworld 2018参加者は、数多くの発表内容を消化するのに苦労する様子が垣間見られた。当然、参加していたメディア関係者もそれは同じであり、基調講演終了後に行われたメディア向け説明会では、基調講演で詳細に触れられることがなかった「Project Dimension」などの研究開発段階の3つのプロジェクトの内容を確認する質問が目立っていた。その中で最も注目を集めたのが、やはり「Amazon Relational Database Service(RDS) on VMware」の発表だろう。

VMworld 2018で大きな注目を集めたのが「Amazon Relational Database Service(RDS) on VMware」の発表だった
VMworld 2018で大きな注目を集めたのが「Amazon Relational Database Service(RDS) on VMware」の発表だった
VMware 最高経営責任者のPat Gelsinger氏
VMware 最高経営責任者のPat Gelsinger氏

 VMwareの最高経営責任者(CEO)であるPat Gelsinger氏は、この発表を指して「2社の戦略的提携がさらに進化したことを示す内容になった。双方向の関係を確立でき、ハイブリッドクラウドを大規模に展開できる素地が整う」とコメント。「両社のエンジニアチームが、新たなサービスを展開できるように緊密な関係を構築した結果、実現したサービス」と、協業関係がこれまで以上に深まっていることを示して見せた。

 VMwareとAmazon Web Services(AWS)は、2016年に「VMware Cloud on AWS」を発表。2017年8月のVMworld 2017では、基調講演でGelsinger氏とAWS CEOのAndy Jassy氏がそろって登壇し、「VMware Cloud on AWS」のローンチを高らかに宣言してみせた。

 Gelsinger氏は、「VMware CloudをAWSのハードウェアの上でマネージできるようにしたのが第1段階。そして、第2段階となるAmazon RDS on VMwareによって、Amazon RDSがオンプレミスのvSphereの上で走ることになる。VMware Cloud on AWSを発表した時に『VMwareは、顧客をクラウドにおくだけなのか』と言われた。今回の発表で、そうではないことが分かるだろう。これは将来のハイブリッドを構築することになる。クラウドに置きたいという顧客もいれば、オンプレミスにも置いておきたいという顧客もいる。そうした要望に応えられるユニークなハイブリッドクラウドプラットフォームを構築することになる」と位置付ける。

 オンプレミスのVMwareがクラウドシフトへの道筋を描いたのが、VMware Cloud on AWSであるのに対して、Amazon RDS on VMwareは、クラウドネイティブカンパニーであるAWSが、オンプレミスとの連携を仕掛ける提案になる。

 実際、VMware Cloud on AWSは、VMwareが営業活動を行い、VMwareからサービスを提供するものであったのに対して、Amazon RDS on VMwareは、AWSが営業活動を行い、AWSがサービスを提供することになる。AWSのパートナーもAmazon RDS on VMwareの販売が可能になる。Amazon RDS on VMwareは数カ月以内に提供が開始することになり、Microsoft SQL Server、Oracle Database、PostgreSQL、MySQL、MariaDBもサポートする。

 Jassy氏は、「RDSを利用している10万の顧客が、データベースを簡単にオンプレミスで管理できるようになる。現在でもAmazon RDSを利用している多くの企業がハイブリッドモードで活用しており、これによってAmazon RDSの優れた機能をオンプレミスでも利用できるようになる」とする。

 VMwareの立場からすれば、一つの基盤上において、オンプレミスとパブリッククラウドを動作させるハイブリッドクラウドの環境を実現することができるというわけだ。だが問題は、Amazon RDS on VMwareをどれぐらいのユーザーが利用するのかということだ。

 オンプレミスからクラウドシフトを行ったり、ハイブリッドクラウドへと進化させたりするケースは、いまや自然の流れだ。だが、その逆方向となるクラウドネイティブから、オンプレミスへの移行はどれぐらいあるのかといった観点からすれば、限定的と言わざるを得ない状況もある。

VMwareとAWSによる協業の歴史
VMwareとAWSによる協業の歴史

 しかし規制などの関係から、データを手元に置いておきたい業界や、欧州の「一般データ保護規則(GDPR)」の施行に伴い、データを手元でコントロールしたいといったニーズは想定されるだろう。

 Jassy氏は、「非常に多くの顧客が自社の大規模なデータベースの管理をAmazon RDSに任せてくれているのは、データベースの管理と運用を滞りなく続ける上で大変な作業であり、ミスが発生しやすく、リソースへの負担も大きいためだ。さまざまな運用環境で実績を残してきたRDSのサービスを、VMwareの顧客のオンプレミス環境およびハイブリッド環境にも提供することで、企業は、これまでより簡単にデータベースを管理でき、さらに、これらのデータベースを、容易にクラウドに移行できるようになる」と語る。

 2011年からVMwareが打ち出している「VMware VISION」において、今年のVMworld 2018では、これまでは「Private Cloud」と表記していたところを、「Hybrid」と表記した。今回発表したAWSとの連携強化によって、VMwareはプライベートクラウドという表現をやめ、ハイブリッドクラウドを当たり前の環境として提示することになったといえるだろう。

 プライベートクラウドの雄であったVMwareが、そのビジョンにおいて、プライベートクラウドの表記をやめたことは、VMwareにとって大きな転換を示す動きといえるだろう。

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