富士通、手のひらと顔情報で認証できる技術開発--2020年の実用化を目指す

NO BUDGET

2018-10-06 07:09

 富士通研究所は10月4日、手のひら静脈と顔情報のみで本人を特定し、非接触で認証できる生体認証融合技術を開発したと発表した。同技術は、中国の富士通研究開発中心と共同で開発された。2020年度中の実用化を目指す。

 従来、銀行ATMなど、数万人規模の利用者の手のひら静脈が登録されている場合、比較照合を効率的に行うためにカードなどのほかの情報を入力することでデータの絞り込みを行っている。しかし、今後、100万人規模の利用が想定される実店舗での決済へと利用範囲が拡大することが予測されており、IDカードの提示やパスワードの入力なしに、生体情報のみで本人を特定する手ぶらでの認証技術が期待されてきた。

 今回開発した技術は、利用者にカードなどのほかの情報の入力を意識させることなく、認証サーバの計算リソースの増大を抑制しながら、100万人規模の手ぶらでの認証を実現する。

利用者数規模の例と利用シーン
利用者数規模の例と利用シーン(出典:富士通研究所)

 今回開発された技術は、高速に演算できる顔特徴抽出技術と手のひら静脈と顔情報を融合した生体認証融合技術で構成されている。

顔情報で照合対象者を選別して手のひら静脈で本人特定する流れ
顔情報で照合対象者を選別して手のひら静脈で本人特定する流れ(出典:富士通研究所)

 顔特徴抽出技術では、精度を落とさずに複雑な仕組みを簡易的に模擬するアルゴリズムを開発し、処理サイズを約10分の1へ軽量化することに成功した。

 また、生体認証融合技術では、決済端末を利用する自然な動作の中でカメラから取得できる顔情報を利用して、登録されている100万人規模のデータベースの中から類似するグループに絞り込みを行う。手のひらをかざす操作で静脈のデータが一部取得できなかった場合でも、顔情報で認証に必要な情報が補てんできるため、2つの生体情報を利用することによる認証の安定性を向上させることができる。手のひら静脈と顔情報の処理を分離することで認証サーバへの負荷を軽減でき、顔情報の比較演算の高速性も利用しながら、計算リソースの増大を抑制できる。

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