Ubuntu 18.04の長期サポート期間が10年に延長--シャトルワース氏が明らかに

Steven J. Vaughan-Nichols (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2018-11-16 11:06

 CanonicalUbuntuの生みの親であるMark Shuttleworth氏は、ベルリンで開催された「OpenStack Summit」の基調講演で、「Ubuntu 18.04 Long Term Support(LTS)」のサポート期間が5年から10年に延長されることを明らかにした。

 「Ubuntu 18.04がのサポートが10年になることを発表できて嬉しい」とShuttleworth氏は述べた。「その目的の一部は、金融サービス業界や通信業界などの計画対象期間が非常に長い一部の業界に対応することだが、例えば導入から最低10年間は機器が稼働する製造ラインなどの、IoTの分野にも対応できる」

 Ubuntu 18.04は2018年4月にリリースされた。ニュースで話題になるのが多いのはデスクトップ版のUbuntuだが、Canonicalの収益の多くは、サーバ版やクラウド版の顧客から上げたものだ。サポート期間の延長はこれらの企業顧客への対応を目的としたもので、これまでにまずUbuntu 12.04のセキュリティサポートの延長が発表され、その後Ubuntu 14.04にも同様の対応が発表された。Ubuntu 18.04では、先手を打って延長したことになる。Shuttleworth氏は、基調講演後のインタビューで、2021年4月にサポート期間が終了するUbuntu 16.04についてもサポートを延長する予定であることを明らかにした。

 また同氏は、OpenStackについて、2014年にリリースされた「Icehouse」までサポートすることを再び明言した。

 さらに同氏は、CanonicalはOpenStackの新しいバージョンに簡単に移行できるようにすることに力を入れていると強調した。一般に、OpenStackのバージョンアップは、必要ではあるが時間がかかり苦痛が大きいプロセスだ。

 しかしCanonicalのOpenStackでは、サポート対象のもっとも古いバージョンから、最新のバージョンに1秒未満のダウンタイムでアップグレードできるという。これは素晴らしいことだ。

 またShuttleworth氏は、この2年間、Red Hatの顧客がUbuntuを利用することが多くなっているとも述べた。議論の中で得られた同氏の説明では、これは既存の「Red Hat Enterprise Linux」(RHEL)や「OpenShift」の環境をUbuntuに置き換えようとしているわけではなく、モノのインターネット(IoT)やエッジコンピューティング、機械学習・人工知能などの新たな分野に取り組みを拡大するためだという。

 ただし同氏は、IBMのRed Hat買収によって、Ubuntuに切り替えようとする顧客も出てくるかも知れないと予想した。

 同氏は、Red HatはCanonicalにとって、法人向けのLinuxやクラウドの分野で唯一の競争相手だと見ている。Shuttleworth氏の見方では、「SUSEのよりどころはSAP」だが、SUSEが真っ向からCanonicalと競合することは少ないという。

 同氏はまた、Canonicalが依然として2019年中の新規株式公開(IPO)を目指していることも明らかにした。ただし、このスケジュールは確定しているわけではなく、同社がShuttleworth氏が設定した目標に到達した場合にだけ実現するとした。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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