海外コメンタリー

シャトルワース氏が考える、CanonicalやUbuntu Linuxのこれから

Steven J. Vaughan-Nichols (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2018-06-18 06:30

 カナダのバンクーバーで開催された「OpenStack Summit」で会ったMark Shuttleworth氏は、調子がよさそうに見えた。これは同氏の会社であるCanonicalや「Ubuntu Linux」が好調だったことだけが理由ではなく、ダイエットがうまくいって体重が20kgほど減ったからでもある。活力に満ち、体調もよい同氏は、2019年中にCanonicalの新規株式公開(IPO)を行い、同社をこれまで以上に強力な会社にしようとしている。

 CanonicalのIPOには、Shuttleworth氏が予想していたよりも時間がかかっている。同氏は、「われわれは適切なタイミングで適切な行動を取る。しかしそれは今年ではない。まだ行うべき手続きが残っており、それには時間がかかる。われわれは、売上高と成長率にどの程度の数字が必要かを理解しており、取り組みは軌道に乗っている」と説明している。

 一方でShuttleworth氏は、Canonicalの成長を加速するために、同氏の個人資産以外に(BBCの報道によれば、同氏の個人資産は2017年に3億4000万ポンドも増えている)、プライベートエクイティからも資金を得ている。

 同社はどの分野で成長しているのだろうか。少なくとも、デスクトップではない。Canonicalの主な資金源となっているのは、UbuntuのデスクトップユーザーやShuttleworth氏自身ではなく、クラウドだ。

 Ubuntuは現在も、もっともよくクラウドで使われているOSであり続けている。2018年5月8日付けのCloud Marketの統計によれば、Amazon Web Services(AWS)上で実行されているUbuntuのインスタンスの数は20万9000と圧倒的で、これは競合OSである「Amazon Linux AMI」の8万8500インスタンス、「Red Hat Enterprise Linux」(RHEL)と「CentOS」の計3万1400インスタンス、「Windows Server」の2万9200インスタンスを大きく上回っている。また別のデータとして、OpenStackクラウド企業であるRackspaceの幹部は、筆者の取材に対して、同社では当初RHELを使用していたが、今では60%がUbuntuになっていると述べている。

 OpenStackはCanonicalにとって非常に有利に作用しており、この点では、ほかの多くのOpenStackプロバイダーやディストリビューターを上回っている。「OpenStackでは、より費用対効果の高いインフラを実現できるという期待を満たすことが重要だ」とShuttleworth氏は言う。「新しいテクノロジに熱を上げたり、新しいプロジェクトを始めたりするのもいいし、連帯やオープンソースがもてはやされたりもするが、本当に重要なのはコンピュータであり、仮想マシンであり、仮想ディスクであり、仮想ネットワークだ。わが社は、それを提供することに一心に取り組み、それに関わるあらゆる問題を解決している」

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