Amazon Web Services(AWS)は米国時間11月27日、世界初の試みとして、人工衛星との通信を行う地上局をフルマネージドサービスとして提供すると発表した。同社の最高経営責任者(CEO)Andy Jassy氏によれば、このサービス「AWS Ground Station」は、衛星データのアップロードやダウンロードを取り扱う簡単な手段がないという顧客の要求に応えて作られたものだという。
Jassy氏は、同社が現在2カ所の地上局を所有しており、2019年中頃までにさらに10カ所の地上局を整備する予定であることを明らかにした。
「データを取得してそれで何かをしようとする際には、そのデータを保存し、処理し、アナリティクスを実行するための何らかのインフラを必要とする」と同氏は言う。
「そのようなインフラは複雑であるだけでなく、コストもかかる。(中略)『宇宙には非常に多くのデータがあり、それらのデータを利用できる応用分野も非常に多い』という声が顧客から上がっていた」(Jassy氏)
同氏は、AWSは世界中に19のリージョンを持っており、さらに5カ所のリージョンが準備されているため、人工衛星が生成する大量のデータを受信して保存し、処理し、分析できるだけの面積をカバーできると述べている。
Jassy氏によれば、AWS Ground Stationは、Amazon EC2がコンピューティングパワーの調達コストを引き下げたのと同じ効果を、地上局にも及ぼすという。
各地上局は特定のAWSリージョンと結びついており、衛星から受信した生のアナログデータは、データストリームに処理され、EC2のインスタンスで信号処理を行ってバイトストリームに変換される。
現在このサービスのプレビュー版を利用しているユーザーの名前には、宇宙関連事業を手掛けるLockheed MartinやCapella Space、Open Cosmosなどが挙がっている。
AWSは、2019年中頃までに12カ所の地上局を整備した後、利用状況と需要を見た上で、必要に応じて地上局やアンテナを増やしていく計画だ。
利用料はダウンリンクの利用時間に応じて分刻みで課金され、前払いのオプションも用意される。
またAWSは、Lockheed Martinの新サービス「Verge」との連携を発表した。Vergeは、増大する需要に対応する、低コストで回復力の高い衛星地上間通信ソリューションだ。
Vergeは、複数のデータストリームを受信できる低コストな地上局のネットワークで受信したデータを、AWSクラウドから利用できるようにする。
現在利用されているパラボラアンテナは、1度に1つの人工衛星としか通信できない。低軌道人工衛星は今後10年間で1万6000基まで増加すると予想されており、従来の方法では十分に衛星のデータを利用できないという問題がある。Lockheed MartinによるとVergeの顧客は、高コストな地上局ネットワークを構築しなくても、高い頻度でより多くのデータを受信し、クラウドで容易に利用できるようになるという。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。