海外コメンタリー

ClouderaとHortonworksの合併でビッグデータ分野はどこへ向かう?

Andrew Brust (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2019-01-16 06:30

 年が明けてすぐの米国時間1月3日、ClouderaHortonworksの合併がそれほど大騒ぎされることもなく完了した。Hadoopの大手ディストリビューションベンダーである両社はそれぞれ、米YahooにおけるオリジナルのHadoopチームにまでその源をさかのぼることができる。時には互いにうんざりするほどの競争心を見せた両社だが、ついに1つの企業としてスタートを切った。

 新会社はClouderaという名称で、もともとClouderaが使用していたティッカーシンボル(CLDR)を引き継いだ。そして新会社の最高経営責任者(CEO)には、合併前にClouderaの同職を務めていたTom Reilly氏が就任した。また、Clouderaは合併前に「Enterprise Data Hub」というコンセプトを推進していたが、Reilly氏によると「企業向けのデータクラウドプロバイダーとして(業界を)リードする存在になる」という目標に向かって進んでいくという。

 この合併に関する業界の意見は、Hadoopが何らかの死のスパイラルに陥っている証左だというものが多い。Hadoop分野の大手ベンダー2社が合併するのであれば、同分野には個別の企業体として存続していけるだけの十分な大きさの市場がないことを意味しているという論理が展開されている。

同じものでも異なって見える

 この主張はものごとを逆から捉えているというのが筆者の意見だ。しっかり見れば、両社は個別の企業体としてHadoopおよびビッグデータの市場にマイナスの影響をもたらしていたとの見方もあるはずだ。両社の合併により、業界に対する、そして両社の業績に対する逆風が解消されるだろう。

 ClouderaとHortonworksは以前、ライバルとして激しく火花を散らしていた。両社はHadoopのコアプラットフォーム自体の上でそれぞれ、ビッグデータのスタックを構成する競合コンポーネントを開発し、それぞれを支持していた。Hortonworksがガバナンス向けに「Apache Atlas」を、クラスタ管理向けに「Apache Ambari」を、アクセス制御向けに「Apache Ranger」を、データウェアハウジング向けに「Apache Hive」を支持した一方、Clouderaはそれぞれで「Cloudera Navigator」と「Cloudera Manager」、自社が支援する「Apache Sentry」と「Apache Impala」を支持していた。また、Hadoopのコアプラットフォームでさえも、Hortonworksがオープンソースの「Apache Tez」コンポーネントを支持した一方、Clouderaは「Apache Spark」の方が優れていると判断した結果、断片化が生み出された。

 こうした対立によって2つのHadoopプラットフォームというドラマが生み出された。2頭の象が、負け馬に賭けるという大きなリスクを顧客に背負わせていたのだった。その結果、エコシステムの結束が弱まり、ソフトウェアベンダーにとっては互換性の悪夢が引き起こされるとともに、顧客にとっては混乱、決断のしづらさをもたらすコミュニティーや標準の断片化が引き起こされた。端的に言えば、ビジネスにとっては好ましくない状況だったのだ。

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