Canonicalは「Ubuntu 18.04 LTS」をベースとした最新版の「Ubuntu Core」である、「Ubuntu Core 18」をリリースした。Ubuntu CoreはIoTデバイスで利用されることを前提として設計されたLinuxディストリビューションだ。このバージョンでは10年間のサポートが提供される。
Ubuntu Core 18は、これまででもっともサイズが小さいUbuntu Linuxで、イメージサイズは260Mバイトしかない。このため、IoTデバイスにもクラウドコンテナにも理想的なディストリビューションとなっている。
もちろん、IoTデバイスで実際に利用する際にはサイズが小さいだけでは不十分だが、小さいこと自体はよいことだ。デバイスに必要なシステムリソースが小さくて済むだけでなく、攻撃対象となり得る要素を最小限に抑えられるというメリットも謳われている。
また、Ubuntu Coreへのプログラムのインストールには、改変できないように電子署名が施された「snap」が使用されるが、このこともさまざまなメリットをもたらす。実際、Ubuntu Coreは、そのプラットフォーム全体がsnapで構成されている。
Snapは、Ubuntuで利用できるコンテナ化されたソフトウェアパッケージだ。Ubuntu Coreの各snapはサンドボックスで隔離されているため、特定のsnapがセキュリティ侵害を受けた場合でも、影響範囲は限定される。また、Ubuntu Coreのsnapは定期的に既知の脆弱性が存在していないかチェックされることになっている。
さらに、何か問題が発生した場合でも、snapはアップデートの度に以前のバイナリとアプリケーションデータを保存し、いつでも以前の状態にロールバックすることができる機能を持っている。
また、Ubuntu Coreには安全が確保されたsnapのアプリストアが用意されているが、このアプリストアはベンダーが開設することもできる。このため、IoTデバイスのベンダー側で、ユーザーにすべての標準的なアプリを提供することも、自社のプログラムだけを提供することも自由に選択できる。
Ubuntu Core 18の大きな利点は、低価格なセキュリティサポートが10年間提供されることが保証されている点だ。このため、IoTの開発者や利用者は、長期的なセキュリティを確保することができる。これは、多くのIoT向けOSに欠けている点だ。
Ubuntu Core 18のリリースに先立って行われたEclipse Foundationの調査によれば、IoTの分野でよく利用されているOSは、Ubuntu、「Raspbian」(「Raspberry Pi」用のLinuxディストリビューション)、「Debian」で、IoT開発者の72%がLinuxを使用しているという。筆者の予想では、今回のリリースによって、Ubuntu Coreはこれまで以上にIoTの分野でよく利用されるようになるだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。