キヤノンMJがデータセンター新棟を建設--床面積同等でもキャパシティ増大

渡邉利和

2019-02-20 09:51

 キヤノンマーケティングジャパン(CMJ)とキヤノンITソリューションズ(CITS)は2月19日、「西東京データセンター」で3月1日に新棟の建設に着手し、2020年夏にサービスを開始すると発表した。

 西東京データセンターは2012年10月に稼働を開始した。今回は、既存棟の満床にめどが立ったことで、新棟の建設に至ったという。新棟は既存棟と階数/床面積でほぼ同等の規模になるが、ラック数は1.25倍(既存棟2300/新棟2880)、受電能力は1.7倍(既存棟15MVA/新棟25MVA)と、キャパシティが増大し、より高密度化が進んでいる。

「西東京データセンター」に新設される「西棟」の概要(出典:キヤノンITソリューションズ)
「西東京データセンター」に新設される「西棟」の概要(出典:キヤノンITソリューションズ)

 また、ユーザー企業からの要望を受け、災害発生時などに作業スペースとして利用可能な「BCPオフィスフロア」は666平方メートルから1500平方メートルへ2.3倍に拡大し、ラック数を増やしつつ、サーバフロア以外のスペースも拡大するという形になっている。なお、具体的な投資額は明かさなかったものの、新棟建設のコストも既存棟とほぼ同等だとしている。

 取締役常務執行役員 エンタープライズビジネスユニット長兼CITS 代表取締役社長の足立正親氏がCMJグループのITソリューション事業戦略を説明。「CMJグループの中期経営計画2019-2021」の中で「ITソリューションを中心とした市場拡大領域における利益ある成長の実現」をうたっていることを踏まえ、ITソリューション事業の売り上げを2018年実績の1977億円から2021年には2300億円に、さらに次期長期経営構想(2021~2025年)期間中に3000億円の達成を目指すとした。

キヤノンマーケティングジャパン 取締役常務執行役員 エンタープライズビジネスユニット長 兼 キヤノンITソリューションズ 代表取締役社長の足立正親氏
キヤノンマーケティングジャパン 取締役常務執行役員 エンタープライズビジネスユニット長 兼 キヤノンITソリューションズ 代表取締役社長の足立正親氏

 また同氏は、ITソリューションの中でもデータセンターに関連する事業として「ストック型ITサービス事業」(サブスクリプション、エンハンス、DC/クラウド、保守、サポートなど)の比率を高めていく方針も明らかにした。2018年実績でストック型ITサービス事業の売上比率は30%だったが、これを2021年には35%へ伸ばし、さらにITソリューション事業の売上高3000億円を達成した段階では、40%を目指すとしている。これは、売上額で見ると2018年実績の約600億円に対し、3000億円の段階では1200億円となることから、倍増を見込んでいるということになる。同氏はこの数字について、「このくらいしなければ3000億円は達成できないと見ている」と述べた。

 CITS 取締役 常務執行役員の笹部幸博氏は、データセンタービジネスを中核とした事業戦略について説明した。同氏は今後の「国内データセンターサービス需要の動向」について、エンタープライズユーザーなどのクラウドサービスへの移行が進むといったトレンドから、従来のデータセンターサービスの中核となっていたハウジングやコロケーションといった「非クラウド系サービス」の売り上げは横ばいと予測する一方、「クラウド系サービス」が急速に伸び、2020年には非クラウド系サービスを追い抜くとした。その上で、「クラウドビジネスの拡大」「メガクラウド対応」に取り組むとしている。

キヤノンITソリューションズ 取締役 常務執行役員の笹部幸博氏
キヤノンITソリューションズ 取締役 常務執行役員の笹部幸博氏

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