フィンランド政府は人工知能(AI)を活用する試みの試験運用を進めている。この試みは、世界でもっとも野心的な公的部門によるAIアシスタントになるかもしれない。
この「Aurora」と名付けられたAIアシスタントは、各ユーザーにパーソナライズされたサービスを提供することを目指すデジタルプラットフォームで、人生の特定のタイミングにおける個人のニーズに合わせて、サービスのフィルタリングを行う。
Auroraの核になっているのは強化学習で、長期的なデータに基づいて、特定のユーザーグループがもっとも必要としているサービスの組み合わせ(公的サービスと民間サービスの両方を含む)をソフトウェアに特定させている。そのようなサービスは優先される一方で、必要性が低いと見なされたサービスの組み合わせは脇道に追いやられる。
プロジェクトの設計者によれば、ユーザーグループは主に匿名化された個人情報に基づいて作成されるという。
ITコンサルティング企業Cybercom Finlandのデータサイエンス事業の責任者であり、Auroraネットワークを設計しているAntti Hahto氏は、米ZDNetの取材に対して「グループレベルで利用できる匿名の情報が多いほど、各個人にパーソナライズされた適切なサービスを提供でき、個人と社会を近づけるのに役立つ」と述べている。
「データが個別の形で必要とされる場合、われわれは『MyData』の原則に従い、他の誰でもなくそのユーザー自身がデータの所有者だとして対応する」(Hahto氏)
このプロジェクトの基礎的な要素の1つが「デジタルツイン」だ。デジタルツインという名前にディストピア的な雰囲気を感じる人もいるかもしれないが、これは仮想の自分が評価されるというようなものではない。中国が急速に開発を進めている社会信用システムで行われているような市民の格付けとは異なる。
多くの意味でまったく逆の役割を果たすものとなりそうだ。ユーザーがどのアプリケーションやサービスを利用し、どれだけのデータを共有するかを選択できるようにするデジタルプラットフォームだ。