IBM Think

IBMが掲げるデジタル変革“第2章”--本格化する基幹系システムのクラウド移行

藤本和彦 (編集部) 2019年02月26日 07時00分

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 米国サンフランシスコで開催された年次カンファレンス「IBM Think 2019」で、会長兼社長で最高経営責任者(CEO)を務めるGinni Rometty氏は、デジタル変革の“第2章”を掲げた。企業システムにとって本丸と言える基幹系システムのクラウド移行が本格化すると見込み、このキーワードをその旗印として会期中にさまざまなところで繰り返し使っていた。

 IBMでクラウドとコグニティブソフトウェアを率いるシニアバイスプレジデントのArvind Krishna氏によると、これまで第1章では、「クラウドへのリフト&シフトや、それによるインフラ費用の削減」が中心だったと説明。その先となる第2章は、「要するにミッションクリティカルシステムのクラウド化」であり、ビジネスデータとワークロードがプライベートクラウドやパブリッククラウド、オンプレミスの間を移動するハイブリッドな環境になるとする。

 94%の企業が既にSaaSを含む複数のクラウドを使用しており、85%の企業はオープンソースの利用を増やしているという。将来、クラウド市場は1兆ドル規模になると予測し、そのうち40%がプライベートクラウド、60%がパブリッククラウドになると示した。

 日本IBM 取締役専務執行役員 グローバル・ビジネス・サービス事業部長の山口明夫氏は、企業内の業務の20%しかクラウド化されていないのが実情であり、残りの80%は業務の改革が必要であると話す。その多くは、オンプレミス環境にあってビジネスの根幹を担うミッションクリティカルシステムになる。IBMは今回、そうした基幹業務の領域でのクラウド活用が本格化するという見解を示した。

 その一方で、オンプレミスとパブリッククラウドの間には“崖”があると、日本IBM 取締役専務執行役員 IBMクラウド事業本部長の三澤智光氏は指摘する。「テクノロジ」「ガバナンス」「セキュリティ」の各領域で違いが生じ、ベンダーロックインの問題もある。その「崖を埋める」ための戦略がハイブリッド/マルチクラウドになる。

 例えば、パブリッククラウド「IBM Cloud」ではベアメタル環境を提供しており、オンプレミスのVMware環境からアプリケーションの変更なしでクラウドへ移行できる。「SoR(Systems of Record)をクラウド化できるのが優位な点」(三澤氏)とする。

Think 2019にゲスト登壇したVMware CEOのPat Gelsinger氏(左)。IBMとの良好な関係をアピールした。
Think 2019にゲスト登壇したVMware CEOのPat Gelsinger氏(左)。IBMとの良好な関係をアピールした。

 さらに、SoE(Systems of Engagement)と呼ばれるクラウドネイティブなアプリケーションについては、コンテナ管理ソフト「Kubernetes」をはじめとするオープンソース技術を取り入れることで、オンプレミスやマルチクラウドで動かせるようにしている。プラットフォームとアプリケーションの構成を柔軟にすることで、ベンダーロックインの問題にも対応する。

 SoRのクラウド化、SoRとSoEの連携を可能にする仕組みを使って、既存のシステムを徐々にモダナイズ(近代化)していくことが必要になる。

 LinuxやKubernetesは次世代のクラウド環境を支える基盤技術として有力視されている。実際、パブリッククラウドで稼働しているアプリケーションの54%はLinuxで動いているという。

パブリッククラウドで稼働しているアプリケーションの54%はLinuxで動いている。
パブリッククラウドで稼働しているアプリケーションの54%はLinuxで動いている。

 オープンソース技術のエンタープライズ活用を進める上で、Red Hatの買収が大きな鍵を握っている。会期中も同社を目玉としたセッションが用意されたほか、Rometty氏の基調講演にもRed Hatの社長兼CEOであるJim Whitehurst氏がゲスト登壇した。

 壇上では、「我々はオープンソース技術を企業が価値を感じるものにする」「オープンソースをエンタープライズが消費できるための最後の10%の作業をしている」などとアピールした。

 IBMは今回、マルチクラウド戦略の中核を担う製品として、「IBM Multi Cloud Manager」の機能強化、「IBM Cloud Integration Platform」と「IBM Services for Multicloud Management」の提供を発表している(関連記事)。マルチクラウドの計画、調達、構築、管理をエンドツーエンドで支援するツールやサービスを拡充させている。

 実際のところ、オンプレミス環境で稼働する基幹システムなどを一足飛びにパブリッククラウド環境へ移行するのは容易ではない。まずは、オンプレミスとクラウドを組み合わせたハイブリッド環境を目指し、やがては複数のクラウドを適材適所で使い分けたマルチクラウド環境へと対応するのが現実的なのではないだろうか。

コンテナ技術は次世代クラウドのスタンダードに。
コンテナ技術は次世代クラウドのスタンダードに。

(取材協力:日本IBM)

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