マイクロソフトが示した「モダンOS」構想--「Windows Lite」への伏線に?

Mary Jo Foley (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 矢倉美登里 吉武稔夫 (ガリレオ)

2019-05-30 13:19

 「Computex 2019」で、Microsoftの幹部らは「Windows」について何も口にしなかった。このところMicrosoftがWindows中心だった過去と距離を置こうとしていることを考えると不自然なことではない。Microsoftはここ2年ほど、旧来のWindowsよりも、「Microsoft 365」について話題にする傾向にあった。Microsoft 365は、Windowsと「Office 365」「Enterprise Mobility + Security」を組み合わせたソリューションだ。Microsoftの幹部やパートナーはMicrosoft 365に対して、「モダンデスクトップ」というマーケティング用語を使うことがある。

提供:Microsoft
提供:Microsoft

 Microsoftの幹部らはComputex 2019で、「モダンデスクトップ」よりも「モダンOS」について語った。バックグラウンドでシームレスにアップデートを処理し、Wi-Fiと5Gを即座に切り替え可能で、パフォーマンスが持続し、悪意ある攻撃からユーザーを保護する「デフォルトでセキュア」な状態だという。

 これが現在の「Windows 10」ではないことは、われわれのようなユーザーにもわかる。このモダンOSとは、「Windows Virtual Desktop」(WVD)や「Windows Sandbox」などの新機能を備えたWindows 10なのだろうか?それとも、モダンデスクトップのバージョン2やバージョン3のOS部分なのだろうか?あるいは、一部で憶測されているように、Microsoftが「Windows Lite」の準備をしようとしているのだろうか?情報筋によると、Windows Liteは現在のWindowsよりも「Chrome OS」に似ているという。

 「モダンOS」に関する説明が実際にWindows Liteについてのものであるという確信はない。筆者は、MicrosoftがWindows Liteに取り組み続けていると考えている。情報筋によれば、Windows Liteは、「Windows Core OS」(WCOS)をベースとし、コンポーザブルなシェル(開発コード名「Santorini」)を特徴とする製品だという。また、LiteはWindowsと呼ばれないかもしれないが、2020年中に準備が整う可能性があると情報筋は述べていた。2019年内にMicrosoftから何らかの発表があるかもしれない。

 筆者は、Microsoftの動向を追っている仲間と話をしたり、いろいろな記事に目を通したりしてみて、このモダンOSというのは、MicrosoftがWCOSやWindows Liteでやりたいと考えていることについて、非常に漠然とした意欲的な試みを示すものではないかと考えるようになった。

 だが、このモダンOSがLiteであろうとなかろうと、LiteがMicrosoftにとって最重要の未来ではないことを念頭に置いておく必要があると筆者は考えている。

 MicrosoftはWindows 10の機能の開発を続けており、特に企業に多数の顧客基盤を有している。そうした顧客は当面、フル機能を備えたWindowsをデスクトップPCやノートPC、2in1 PC、タブレットなどで使用していく計画だ。Microsoftは、「Windows 7」のユーザーが移行するべきプラットフォームとして、Windows 10を含むMicrosoft 365を推奨している。また、Microsoftが社内でPCの導入や管理で利用している「Microsoft Managed Desktop」サービスは、Windows 10を軸としたものとなっている。

 LiteやLiteを搭載したデバイスは、特に教育やファーストラインワーカー(現場の最前線で働く人)の分野で活用されるかもしれない。そしておそらく、Microsoftはいつか、多くのPCユーザーが日常業務を円滑に進めてくれるツールとして、LiteとLiteで動く(「Win32」アプリを含む)仮想アプリケーションに期待するようになると説明することになるだろう。だが、それは今ではなく、近い将来でもないかもしれない。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]