両方が、結果を改善するためには人間のフィードバックが重要であるという成功の鍵を見いだした。シーズンが進むにつれて、Watsonとリアザーヘッドの両方で理解が進み、このツールのメリットが明らかになってきた。McCarthy氏はその一例として、対戦チームにボールが奪われた際のトランジションをAIを使って分析した際の話をした。
「こちらの選手が不利なエリアでボールを奪われていることが分かったため、われわれはこれがどれだけ相手チームのシュートにつながっているかを調べた。その結果、これが最大で20%にもなることが明らかになった。この情報によって、選手と話し合いをする際、悪い選択がどれだけ悪い結果につながったかを示すことができた」と同氏は言う。
リアザーヘッドFCのマネジメントチームは、ロングパスが短いパスよりもうまくいかないことを示すためにもこのシステムを使用した。この場合も、戦術を変えるメリットを説明するためにAIが役立った。
「裏付けを得ることができるため、ウィークデーのトレーニングではその内容に集中できた」とMcCarthy氏は言う。「われわれは、話の内容を裏付けるファクトに基づいた情報を持っていた。これによって、選手のプレイを建設的に検証することができた。ツールで得られた情報は、われわれの感触を裏付けてくれた」
McCarthy氏によれば、AIシステムの分析結果には試合終了から24時間以内にアクセスできるようになるという。マネジメントチームはIBMから動画を受け取るほか、例えば各選手のパフォーマンスやシュート決定率などの、特定の要素について掘り下げて分析することもできる。選手も同じ情報にアクセスすることができ、優れた選手はAIを取り入れているという。
「Watsonを多く使っている選手ははっきり分かる」と同氏は言う。「このチームは成長を求めている若いチームであり、本当に成長したい選手はAIを使っている。このツールにアクセスできるのに、使わないのは馬鹿げている。このツールは、選手のレベルアップを手助けしてくれる」
Watsonはすでにテニスやゴルフで使われており、バスケットボールでもトロントラプターズで導入されている。IBMのPavitt氏は、リアザーヘッドFCでの実験は、ほかの競技よりもデジタル変革への抵抗が強いサッカーの世界でも、この技術が使えることを証明していると語る。