テニスのウィンブルドン選手権で、観客が風物詩であるイチゴを食べ、選手たちがショットを決めているとき、その舞台裏では、ITプロフェッショナルの専従チームが、世界に知られたテニストーナメントを支えるテクノロジを成功に導こうとしていた。
IBMのウィンブルドン大会担当チーフアーキテクトSimon Boyden氏は、7月中旬まで開催されていた大会のさなかに、その舞台裏を支えている「バンカー」に米ZDNetの記者を案内するツアーを組んでくれた。このバンカーはウィンブルドン大会のメディアセンター内に設置されており、ITの運用とデジタルプラットフォームを提供するIBMのデータの専門家とインフラの専門家が、開催期間の2週間にわたってここに陣取っている。
運用ルームでは、スタッフたちがたくさんの画面を監視しながら、システムが正常に動作していることを確認していた。「ここで行われている仕事は、主にデータに関するものだ」とBoyden氏は言う。「われわれの業務の中心は統計だ」
運用センターには常に、サーブやリターン、ラリーのポイントなどの試合の詳細をコートサイドで記録する、48人の前途有望なテニス選手からのデータが届いている。データの記録はクラブ水準の選手によって行われている。これは、記録を行うには、フォーストエラーとアンフォーストエラーの違いなどの、試合の中の微妙なニュアンスを理解できる必要があるためだ。
この電子システムは、IBMが2週間の大会期間中に約450万件のデータを収集するのに役立っている。現在、同社の大会データベースには5000万件のデータが収められている。「この情報はわれわれの活動の中心であり、『Wimbledon Information System』(WIS)と呼ばれるシステムで使用される」とBoyden氏は説明した。
「収集されたデータの多くは、すぐに統計を必要とする放送局に提供される。現場には、約3500人の公式メディアのメンバーがいる。また試合が終わってから30分後には、メディアと選手の両方に、試合中の全ポイントのプレイ映像が専用ポータルを通じて提供される」(Boyden氏)