arcserve Japanは8月28日、事業継続を念頭に置いたバックアップのクラウドサービス「Arcserve Business Continuity Cloud」のラインアップとして、「Arcserve UDP Cloud Hybrid」と「Arcserve UDP Cloud Direct」の2つの国内提供を発表した。Cloud Directは同日、Cloud Hybridは9月中旬に提供を開始する。
Cloud Hybridは、バックアップ・リカバリーソフト「Arcserve Unified Data Protection(UDP)」を導入する企業向けのサービス。Arcserve UDPで作成したオンプレミスのバックアップデータを、同社が運用するクラウドデータセンターにセカンダリーとして複製することで、自然災害などによるサイト障害からデータを保護する。
これにより、日常的なデータ破損やシステム障害には、手元のバックアップから迅速に復旧し、災害などによるサイト障害時には、遠隔地のクラウドにあるバックアップから復旧することが可能になる。
バックアップデータの複製先として東日本と西日本のリージョンを選択できる。また、東日本リージョンでは、代替の仮想マシン(VM)で顧客システムを起動することも可能。本番システムの障害時には、Cloud Hybrid上で代替VMを起動し、仮想私設網(VPN)経由で代替VMにアクセスして業務を継続できる仕組みになっている。
その他、複製されたデータがリストア可能か自動でチェックする「アシュアードリカバリ機能」や、Office 365のデータを直接バックアップする機能なども備える。
Cloud Hybridの価格表
もう1つのサービスであるCloud Directは、バックアップに必要なソフトウェアや機能をオールインワンでまとめて提供する。直接クラウドにバックアップするため、オンプレミスにはバックアップサーバーやストレージシステムの設置が不要となる。支店・支所のサーバーやPCなど、物理的な設置スペースや管理負荷の都合でバックアップ環境を構築できない企業の災害対策に有用だとしている。
Cloud Directは、バックアップ機能だけを使う「BaaS」(Backup as a Service)と、本番システムの代替VMも起動できる「DRaaS」(Disaster Recovery as a Service)の2つの方式から選ぶ形になる。
バックアップサーバーやストレージシステムを設置できない拠点のサーバーやPCのプライマリーとしてCloud Directに直接バックアップデータを作成し、誤って削除したファイルや障害のあったシステムをリストアしたり、システムの障害時にはCloud Direct上で本番システムの代替VMを起動し、VPN経由でアクセスして業務を継続したりできる。なお、Cloud Directの場合は、米国西海岸のデータセンターにデータが保管される。
Cloud Directの価格表
両サービスとも、フルバックアップの転送は初回だけで、2回目以降は増分データだけを圧縮転送する仕組みとなっている。また、ネットワーク障害などによってデータの転送が失敗した際には、自動でリトライを行って未送信分の転送を再開する。データ転送時にはSSLで、保管時にはAESで暗号化される。
また、ネットワークの転送量には課金されず、ストレージ容量はテラバイト(TB)単位で購入する。代替VMを利用する場合は別途費用がかかる。
各サービスの使い分け