本連載では、筆者が「気になるIT(技術、製品、サービス)」を取り上げ、その概要とともに気になるポイントを挙げてみたい。今回は、NECが提供する「NEC公共IaaS」を取り上げる。
NECが地方公共団体向けのクラウドサービスを提供
NECは先頃、地方公共団体向けに、行政のクラウド化推進やITインフラの運用負荷軽減を支援するクラウドサービス「NEC公共IaaS」を2020年4月に提供開始すると発表した。
NEC公共IaaSは、図1のようにNECのクラウドサービスにおける地方公共団体向けのメニューとして新たに追加するもので、Microsoftが提供するクラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」の技術を活用した「Microsoft Azure Stack」と、Hewlett Packard Enterprise(HPE)のクラウドアプライアンスを活用し、NECのデータセンターから提供する。
図1:NECクラウドサービスにおける「NEC公共IaaS」(出典:NEC)
また、地方公共団体において、インターネット分離が行われている個人番号(マイナンバー)利用事務系、LGWAN(統合行政ネットワーク)接続系の閉域環境を維持しながら、パブリッククラウドとのセキュアな連携を可能としている。
提供拠点であるNECのデータセンターは信頼性の高いファシリティを備え、さまざまな国際規格に準拠した厳格な管理、運用により、安全、安心なサービスを提供。また、NECの自治体業務システム導入実績に基づくセキュリティ運用ノウハウに加え、数千社以上の企業、団体での運用経験で培ったノウハウで高品質なICTシステム運用を実現しているという。
さらに、NECの顔認証人工知能(AI)エンジンを採用した顔認証とパスワード入力の二要素認証による保守端末のPCログオンや、同社のサーバ、ストレージ製品の技術を生かした大容量ストレージサービス、セキュリティ配信サービス、遠隔バックアップサービスといった 、Microsoft Azure Stackにない独自サービスも提供し、自治体業務をトータルでカバーしていく構えだ。(図2)
図2:「NEC公共IaaS」の概要(出典:NEC)
NEC公共IaaSのサービス料金は月額1万7300円から。今後3年間で45団体への販売を目標としている。
平井卓也前IT担当大臣が「自治体クラウド」に言及
以上がNEC公共IaaSの内容だが、こうしたサービスが登場してきた背景についても少し触れておこう。