2025年に向けてDXを推進するIT部門の役割

第4回 IT部門に必要な2025年のDXに向けてのチェンジマネジメント

石橋正彦

2019-12-11 13:15

 2019年の現在は、デジタルトランスフォーメーション(DX)がIT部門の耳に入るようになった。定義や捉え方は企業によって異なるが、五輪特需や大型プロジェクトの活況が終わった先の2025年は、本格的なDXの時代が始まるであろう。しかし、期待されるDXは全社レベルで検討すべきビジネスの話か、IT部門が検討すべきITの話か――これまでのDXの前身に当たる方法論をもとに、2025年に想定される事象をシミュレーションし、その先のIT部門の年齢構成の変化も読み解きながら、DX時代のIT部門の姿を全8回の連載で占う。第1~4回はDXのガバナンス、第5~8回はDXのテクノロジーがテーマだ。

 第3回では、DX推進で用意していくべき「撤退の議論」の話をした。今後DXを推進するIT部門のDX推進体制を分析し、IT部門がどのようにビジネスに貢献できるか仮説を立て、「IT部門のDX組織/推進体制」を4つのパターンで比較した。

 さらには、IT部門のDX事業からの撤退を例示し、オンプレミスとパブリッククラウドの違いの例を挙げた。ガートナーは、2019年10月に「IT部門がビジネスに貢献していない」という調査結果を発表したが、本稿ではビジネスに貢献できるという観点で述べていく。次の図8では、2025年に向けての「DX事業での撤退」例を示している。

 図8では、全社レベルとIT部門のケースで、それぞれDX事業に参入してから撤退するまでのタスクを時系列にまとめた。本連載の第1~3回でDXがビジネスにどのような効果をもたらすのか、組織や体制の話をした。実際にDXのビジネスが開始され、DXのビジネスから事業の撤退は重要な決断である。しかし2025年に向け、いつでも撤退できるようなITシステムの構築こそ、IT部門が経営に関与し、経費削減から経営に貢献できる立場に転換する機会である。

 2025年に向けてDXを推進する上で、「DXとはITの話であり、デジタルとしてモバイル、クラウド、IoT、ビッグデータをどのように活用するか」という論点が大事だと思う方もいるだろう。ただ、それでは従来のIT部門のように、IT部門はあくまでコストセンターであり、予算を捻出するのは、IT部門の仕事ではないという、「DX=与えられた仕事」に陥る恐れがある。

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