日立ハイテク、クラウドERP「SAP S/4HANA Cloud」導入--マルチとシングルの2層構造で活用

藤本和彦 (編集部)

2019-12-11 13:32

 SAPジャパンは12月10日、日立ハイテクノロジーズ(日立ハイテク)がデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進に向けて、本社の経営基盤システムとしてシングルテナント型の「SAP S/4HANA Cloud」を採用したと発表した。海外グループ企業5拠点では既にマルチテナント型が稼働しており、本社と海外グループ会社の2層構造でクラウド型ERP(統合基幹業務システム)を活用する予定になっている。

 日立ハイテクでは、1996年に「SAP R/3」を導入し運用してきた。ERPパッケージの導入に当たって業務プロセスの見直し(BPR)も進めたが、結果的に当時の自社業務に合わせた追加開発が多く発生していまい、システムは硬直化した状態になっていたという。そうした中、デジタル化を支える次世代システムの構築が急務の課題となっていた。

会見にゲストスピーカーで参加した日立ハイテクノロジーズ デジタル推進本部 理事 本部長の酒井卓哉氏
会見にゲストスピーカーで参加した日立ハイテクノロジーズ デジタル推進本部 理事 本部長の酒井卓哉氏

 具体的なミッションとして、(1)デジタル技術による業務プロセスのシンプル化と顧客接点の統合推進によるビジネスのスピードアップ、(2)経営情報のデジタル化によるスピーディーな経営判断への貢献、(3)デジタル技術による働き方改革の推進――を掲げ、「世界標準のシステムであること」「システム標準機能に業務を合わせること」「クラウドファースト」「モバイルファースト」という4つのポリシーで既存ERPの更新を検討した。

 先述の通り、日立ハイテクでは、2017年にM&A(合併買収)で傘下に収めた海外グループ5拠点(英国、米国、中国、ドイツ、フィンランド)でマルチテナント型のS/4HANA Cloudを既に稼働している。業務標準化と短期導入を主な目的とすることで、他の3拠点も含め5カ国5拠点の基幹システムを14カ月という短期間で刷新した。

 一方の、本社と大規模グループ向けのシステムには、より柔軟性と自由度の高いシングルテナント型を選定。財務、営業、製造、サービスなど多岐にわたる機能を利用する。今後は、他の海外拠点にマルチテナント型を展開し、本社と海外グループ会社の2層構造で運用する予定という。

 海外販社から本社、工場における業務プロセスのシンプル化、経営情報のデジタル化など、データ駆動型の経営の実現を目指し、将来的にはビジネス効果を狙ったKPIの整備や、人工知能(AI)を使った分析などDXを推進していくとしている。

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