アイ・ティ・アール(ITR)は12月11日、年次調査の最新版となる「国内IT投資動向調査2020」の結果を発表した。10月に同調査の速報値が紹介されたが、正式版ではデジタル変革(DX)におけるIT部門の役割や、ビジネスとITの関係性などについてより詳しい現状が浮き彫りになった。
19回目となる同調査は、国内企業に所属するITの戦略や投資の意思決定に関与する人材を対象に行われ、2826件の有効回答を得た。
まずIT人材・組織面の動向では、2019年度時点で総従業員数に占めるITスタッフの割合が過去最高の7.1%だった。2003年度調査は3.5%たったことから、この16年間で企業のIT人材は2倍近くに増えている。
総従業員数に占めるITスタッフ比率の経年変化
DX推進の主役はIT部門
DXの現状については、「全社レベルで取り組むべき最重要事項」と考える企業が27%、「少なくとも部門・部署によって取り組むべき重要事項」と考える企業が34%で、半数以上がDXの重要性を認識していた。業種別では、「最重要事項」と考える割合が金融・保険、情報通信で3割を超えている。
業種別:デジタル変革の位置付け
また、ビジネス状況との相関性で見た場合、ビジネスが「非常に好調」とする企業ではDXを「最重要事項」と考える割合が51%に達する一方、ビジネスが「非常に不調」とした企業ではDXを「最重要事項」と考える割合が18%にとどまった。2019年度のIT予算の増減(2018年度比)との相関性でも、増額する企業ではDXを「最重要事項」と考える割合が35%、減額する企業では同18%だった。
DXの体制では、「推進の専任部門を設置」が15%、「既存部門が推進」が27%、「部門横断型のプロジェクトチーム」が19%と推進する体制を構築する割合が半数を超えた。「存在しない」は29%、「分からない」は10%。業種別では金融・保険、情報通信の推進体制の設置率が7割を超えていた。
デジタル変革を推進する専任部門/既存部門の人員構成
推進体制の人員構成は、専任部門型ではIT部門が64%を占め、既存部門型でも47%をIT部門が占めた。