京セラドキュメントソリューションズ(京セラDS、大阪市中央区)は1月27日、商業用インクジェットプリンター「TASKalfa Pro 15000c」を発表した。自社開発の水性顔料インクを採用するライン型のフルカラーインクジェットで、「TASKalfa」「ECOSYS」シリーズなどの複合機、プリンターで培う技術力をベースに開発。3月から国内で発売、市場へ新規参入するという。
TASKalfa Pro 15000c(出典:京セラドキュメントソリューションズ)
A6から最大の定型サイズとなるSRA3(320×450mm)まで印刷可能で、600×600dpiまでの解像度に対応。普通紙のほか、インクジェット専用紙、インクジェットマット紙、タブ紙、エンボス紙やバナー紙のほか、はがき、封筒など、最大360g平方メートルの用紙に印刷できるという。
A4の場合の分速は150ページ。360g平方メートルの用紙でもノンストップで9000ページ、月間平均100万枚が印刷可能。
印刷中でも用紙の出し入れ、インクコンテナーを交換でき、給紙用ペーパーフィーダー、排紙用スタッカー、状態確認ライトといった計12のインラインオプションを用意するという。最大1万4310枚を給紙、1万5320枚を排紙できるとしている。
基本仕様など
印刷業界では多くの人が既に活用しているという後処理加工用の製品は、提携先などを絞らず対応していくと説明。総部品点数が他製品と比べ少なく、メンテナンスも容易という。
国内の商品販売を担う京セラドキュメントソリューションズジャパン(大阪市中央区)で代表取締役社長を務める長井孝氏は、「高速印字に適しつつ環境に優しい水性顔料インク、長寿命のインクジェットプリントの採用など、業界に先駆けて長年大切にしてきたエコロジーも継続している。スピード、効率、信頼を兼ね備えた、京セラ(京都府京都市)グループの総合力を集めた製品」と語る。
長井氏
国内印刷業界には印刷の質の変化と人材不足という2つの課題があるという。バリアブル、カスタマイズ印刷といった多品種かつ大量の印刷ニーズが存在する一方で、アナログ印刷機のオペレーターが不足。技術習得に時間がかかることから、デジタル印刷が浸透しつつあると説明する。
印刷業界の現状
「商業印刷業界には、月間10万枚程度印刷可能で速度やボリュームが低め、初期投資1000万円を切る粉体トナー機と、月間1000万枚以上印刷可能、印刷コストは安いが(筐体は)1億円を超える連帳インクジェット機、さらにその上にあるオフセット印刷機が存在している。“そこそこ安く、大量印刷できる”Pro 15000cで未踏の領域を埋め、事業拡大を狙う商業印刷会社や企業の印刷集中室などへ追加で設備投資する際の新しい選択肢を提供する」(長井氏)
Pro 15000cが狙う市場
同社にとっては新規事業だが、先行して販売する海外市場では小回りが効くとして高評価を受けていると説明。日本では印刷機器商社での販売に加え、直販の専任部隊も用意する。市場をブルーオーシャンと捉え、デジタル印刷機器業界のビジネス拡大を狙う。
税別標準小売価格は、スタンダードなモデルが2420万円、フルセットが3120万円。