海外コメンタリー

デジタル変革の先を見据える--マッキンゼーが示すビジネス構築戦略

Michael Krigsman (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2020-02-10 06:30

 今や、デジタルトランスフォーメーション(DX)を意識していない人はいない。例えばSalesforceの会長兼最高経営責任者(CEO)であるMarc Benioff氏は、CNBCの番組でDXは巨大なチャンスだと語っている。

 とは言え、すでに確立されている組織を変革することは、ビジネスにおけるもっとも困難な課題の1つだ。真の変革は組織全体に影響を及ぼし、これには製品開発やマーケティング、営業、文化、ビジネスモデルなども含まれる。このレベルでの変革を行うことは、どんな企業にとっても大掛かりな取り組みになる。

 インタビューシリーズ「CxOTalk」では、ビジネス、テクノロジー、政府、教育などの分野で活躍する世界のトップイノベーターを招いて話を聞いているが、今回はMcKinsey & Companyのシニアパートナーにこの話題についてインタビューした。

 Ari Libarikian氏は、企業の変革を支援する取り組みであるLeap by McKinseyの責任者だ。Leap by McKinseyは、大企業とスタートアップの長所を組み合わせたアプローチで、企業の新たなビジネスの創出と育成を支援している。

 変革を実現する方法はほかにもあるが、Leap by McKinseyでは事業運営、企業文化、顧客中心の市場対応といった点をまとめた包括的なアプローチを取っている。

 以下はインタビューの内容をまとめたものだが、動画も公開されている。完全な書き起こし原稿(英語)を読むこともできる。

ビジネスデジタルとは何か

 基本的に、デジタルビジネスとは、製品の開発、デリバリー、提供におけるテクノロジーを中心としたビジネスのことだ。デジタルビジネスはどこからでもアクセス可能で、ずっと利便性が高いため、顧客が得る体験は一般に、従来よりも速く、安価で、シームレスで、簡単になる。

新規ビジネスの構築とDXの違いは

 McKinseyがDXと言う場合、もっとも高いレベルでは、2つ意味がある。1つ目はコアビジネスの変革であり、これはテクノロジーを活用して既存の事業をよりよく、速く、安価で、効果的なものにすることだ。

 もう1つが新規ビジネスの構築であり、これはコアビジネスの外に踏み出して、これまでは存在しなかったものを生み出すことを意味している。通常、企業にとっては、新規ビジネスの構築の方がはるかに過激な変化を伴う取り組みになる。これは、大企業を経営することに長けた幹部の多くは、何かを生み出して規模を拡大する経験をしていないためだ。

 McKinseyは、長期的な成功のためには、新規ビジネスの構築は必要不可欠だと考えている。今のFortune 20と、20年前のFortune 20の顔ぶれはまったく違う。現在のFortune 20企業は、そのすべてが、新規ビジネスの構築によって自らを再生したか、数年前に創業して急激に規模を拡大したかのどちらかだ。

企業文化はなぜそれほど重要なのか

 私の考えでは、この文脈では企業文化はもっとも重要な問題だ。何かをゼロから作ることを知っている企業の優れた文化は、いずれ優れたアイデアを生み出し、規模を拡大して優れたビジネスに育て上げる。

 ここで言う文化とは、働き方であったり、どんな種類の人間を雇うかであったり、間違いからどのように学ぶかであったり、異なる部門を一緒に働かせられるかどうかであったりする。

 成功している新しい企業で最も刺激的なことの1つは、デザイナーや、技術者や、ビジネスマンや、マーケターや、法務部門の人間などが、毎日のようにお互いにどんどん対話していることだ。そしてその全員が、ビジネスを素早く前に進めるにはどうしたらいいかと考える思考様式を持っている。

 (情報開示:McKinseyはCxOTalkの支援企業である。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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