電子証明書に依存しない電子サイン
電子サインは、当事者の電子証明書を利用せずに、当事者間のやり取りの中で本人性を確認するプロセスを盛り込む方法です。メールやログインID、パスワード、SMSなどを組み合わせて本人確認を行います。事前に本人確認された電子証明書が不要な分、導入が簡単で、印鑑登録が不要な認印のような仕組みです。
契約締結時に電子署名でやり取りする場合は、双方に電子証明書が必要なため、契約相手に電子証明書の取得コストを負担させることになります。電子サインであれば、ログインなどの本人認証機能を活用すればよいので、相手方の負担なく利用できます。誰がいつ署名したかを追跡できるログを残すことができるため、証拠性を高めることが可能です。
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さて今回は、電子契約は約束事をデジタルファイルで記録する手法であること、オンラインショッピングなども電子契約であること、電子署名と電子サインの違いなどについて解説しました。次回は、電子契約にあたって押さえておくべき法律について解説します。
(第2回は4月上旬にて掲載予定)
- 浅井 孝夫
- アドビ システムズ 法務・政府渉外本部 本部長
- 2000年東京大学大学院法学政治学研究科修士課程卒業。2001年弁護士登録後、アンダーソン・毛利・友常法律事務所にて勤務。2007年韓国最大手の金・張法律事務所にて勤務。2008年米国カリフォルニア州立大学バークレー校ロースクール(LL.M)卒業後、米国ニューヨーク州にて弁護士登録。2009年北京滞在を経て法律事務所に復帰。2011年アドビ システムズに入社。
- 昇塚 淑子(しょうづか よしこ)
- アドビ システムズ デジタルメディア事業統括本部 営業戦略本部 ドキュメントクラウド戦略部 製品担当部長
- アドビ システムズにてドキュメントソリューションの市場開発を担当。2016年の日本市場における「Adobe Sign」の立ち上げ時より、製品担当としてAdobe Signの事業開発とマーケティングに従事。