IBMは米国時間3月11日、「IBM Watson」プラットフォームに「Project Debater」のテクノロジーをもたらすことで、人の会話に対する理解能力をさらに高めていくと発表した。
Watsonの自然言語処理(NLP)能力を向上させるうえで活用されるProject Debaterというプロジェクトの目的は、複雑な話題であっても人工知能(AI)が人間と討論できることを示すというものだ。
Project DebaterのテクノロジーはWatsonを通じて商用化されることになる。新たなNLPエンジンは慣用句や口語表現、会話での言葉遣いの理解が可能になる。このテクノロジーは、顧客対応といった分野だけでなく、センチメント分析でも有用なものとなる。
Project Debaterは2012年から開発が進められている。膨大な量のテキストを取り込んで処理し、特定の話題に関するスピーチを生成し、主張を洗い出して提示し、討論相手のスピーチを理解したうえで反論するよう設計されている。
IBMによると、このテクノロジーのWatsonプラットフォームへの搭載は、2020年を通じて実施していくという。そのカテゴリーは以下の通りだ。
- 慣用句のような複雑な形式の言葉を理解するための「Advanced Sentiment Analysis」:このテクノロジーにより、成句のような言葉、そしておそらくは皮肉といったものもよりよく分析できるようになるかもしれない。IBMの新たなNLPテクノロジーは3月に「Watson Natural Language Understanding」に追加される予定だ。
- 要約や大意を導き出すための「Summarization」:Project Debaterが持つこのテクノロジーにより、複数のソースからテキストデータを抽出するとともに、記事やブログ、略歴を分析して大意や洞察を生成できるようになる。こういった要約能力は、2020年の後半にWatson Natural Language Understandingに追加される予定だ。
- 投入されたデータをグループ化し、分析すべき関連情報の話題を生成する「Advanced Topic Clustering」:このテクノロジーは、2020年の後半に「Watson Discovery」に追加される予定だ。保険/ヘルスケア/製造といった業界を対象に、専門用語を反映することも可能になる。
- 契約やドキュメント内の条項を洗い出すという、ビジネス文書の分類機能も2020年の後半にWatson Discoveryに追加される予定だ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。