アクセンチュアも日東電工のクラウドシフトに取り組み、「製造業におけるデジタル化に必要なスキルや文化の変更を支援してきた」（テクノロジーコンサルティング本部 シニア・マネジャー 関良太氏）という。
アクセンチュア テクノロジーコンサルティング本部 シニア・マネジャー 兼 AABG（Accenture AWS Business Group） Japan Go-to-Market Lead 関良太氏
【2】のエンタープライズワークロードの文脈では、「SAP HANA」をAWS上で運用する「SAP on AWS」の利用数がグローバルで5000社以上に達したことを強調しつつ、国内事例を披露した。
日立物流はサーバー費用を32％削減し、大日本精化工業はシステム開発や運用の属人化を解消、日機装は製造指図レポートの出力時間や夜間バッジ処理時間を削減している。
他方でWindows Serverの存在感は大きく、AWSJも2008年から現在まで「Windows on AWS」をサポートし続けてきた。国内リージョンの仮想マシンサービス「Amazon Elastic Compute Cloud（EC2）」上でWindows Serverを稼働させている顧客数も、2014年4月と2019年4月を比較すると11倍に増加している。
AWSJは引き続きWindows Serverをサポートし続けることを確約していることを説明。2019年に発表したアプリケーションコードを変更せずに最新のWindows Serverへ移行できる「Windows Server向けサポート終了移行プログラム（EMP）」をアピールした。
「Oracle Database」や「SQL Server」、仮想デスクトップ基盤（VDI）などの動作環境となる「VMware Cloud on AWS」にも触れつつ、ゼンリンデータコムの事例を披露。同社は1800もの仮想サーバーをVMware Cloud on AWSとAmazon EC2などに集約したフルクラウド化に取り組み、2020年6月までに移行を完了させて、同年9月にはデータセンターを廃止する予定だ。
【3】のDXについて渡邉氏は、「クラウドマイグレーションはコストメリットが大きいが、その先を考えなければならない。お客さまの競争力を高めるには、新しいリソースをイノベーションに再投資し、デジタル化で新しいビジネスを産みだしてほしい」と述べながら投資分野の1つであることを明言した。
デジタル化の成功ポイントとして同社は、既存の企業データに加えて、IoTデバイスやモバイルから吸い上げたデータを素早く、そして低コストにクラウドにアップロードし、データレイクに蓄積したデータの一元管理と、機械学習による洞察が欠かせないと語りつつ、AWS上で機械学習を回す「AI/ML on AWS」をアピールする。
ナレッジコミュニケーション 代表取締役 CEO 奥沢明氏
ゲストとして登壇したナレッジコミュニケーション（千葉県市川市）は2015年から機械学習サービスを提供しており、60万冊以上の電子書籍コンテンツを分析するブックリスタ（港区）のデジタル化を支援した。
分析を担当する約8人のデジタルマーケティング部門は各自異なるツールを使っていたが、機械学習モデルの構築や学習、展開を行う「Amazon SageMaker」上の「Jupyter Notebook」に統一した。ナレッジコミュニケーション代表取締役で最高経営席に社（CEO） 奥沢明氏は「コスト削減も大きいが、担当者同士が分析手法など技術情報を共有し、部門全体のレベルアップにつながった」と語った。
