「ニューノーマル」の働き方になるテレワークの勘所 - (page 2)

松岡功

2020-05-07 07:00

テレワークを行う仕組み全体の「信頼性」を注視せよ

 今回、日立がこうしたサービスを始めたのは、テレワーク環境を迅速に立ち上げるための予算を確保できていない中小企業が多く、コスト面での課題が重くのしかかっているからだ。

  日立は2013年から「VMware Horizon」や「Citrix Virtual Apps and Desktops」といったVDI関連ツールを採用した「かんたんPrivate DaaS」を提供し、ヴイエムウェアやシトリックス・システムズ・ジャパンをはじめとするパートナー企業と連携し、これまで多くの大規模事業者向けに高信頼なVDI環境の構築、運用において実績を積んできた。

 そしてこのたび、中小企業を対象にこのサービスを強化し、大規模事業者向けと同様の高い信頼性を確保したVDI環境を低コストで提供するほか、「かんたんPrivate DaaS支援パック」として新型コロナウイルス対策に向けたテレワーク導入支援策を実施し、最大半年間、無償で提供することにした。

 筆者が今回、日立のこのサービスを取り上げたのは、信頼性の高いテレワーク環境という観点から見ると、中小企業においてもプライベートクラウド型のVDIサービスが選択肢の1つになり得ると考えたからだ。

 それとともに、テレワークについては多くの企業がこの1~2カ月でドタバタと始めざるをえなかったのではないかと推察するが、改めてテレワークを行う仕組み全体の「信頼性」を注視する必要があると考えて取り上げた。

 テレワークを行っていく上での注意点については、既に多くの記事で取り上げられているが、お薦めの情報を1つ挙げておくと、ガートナージャパンが先頃発表した「テレワークの本格化に向けて注意すべきポイント」が参考になるだろう。

 このレポートで挙がっている「資料が自宅から閲覧できない」「ビデオ会議の品質が安定しない」「コラボレーションツールの使い方が分からない」「勤務時間を正確に把握できない」などのポイントは、テレワークにおける事業継続の重要な課題である。

 同社のアナリストでバイスプレジデントの志賀嘉津士氏はこれらの課題について、「一朝一夕に解決できるものではなく、長期的に取り組む覚悟が必要だ。テレワークは今回の感染症対策だけでなく、さまざまな災害時における事業継続の観点からも必要であり、これを契機に取り組みをより強固なものへと深化させていくべきだ」と述べている。

 筆者も同感だ。テレワークは、もはや緊急時ではなく「ニューノーマル(新常態)」の働き方になることを、私たちは認識しておかなければならない。

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