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DXで見直したい人事制度--給料と賞与を分ける、外部スタッフにも均等な教育 - (page 2)

各務茂雄 (KADOKAWA Connected)

2020-06-09 07:15

「給料」と「賞与」を分ける

 次に賃金について考えてみましょう。実力主義を導入する場合、給料と賞与を分けて考える必要があります。給料は「会社からの投資」、賞与は「成果に対する報酬」と位置づけるのです。

 給料はロールによって決まります。ですから、社員が「このプロジェクトではこのロールをやりたい(ポジションに就きたい)」と立候補し、マネージャーがOKすれば、そのロールに見合った給料を貰えます。一方、賞与はそのロールで一定の成果を出さなければ貰えません。つまり、ポジションで高い給料をもらっていたとしても、成果が出なかったら賞与は出ませんから、全体として手取り金額は下がるのです。

 誤解のないように付け加えると、年功序列が諸悪の根源だといっているのではありません。年功序列であっても、アウトプットの多い若手社員に賞与を支払うことはできます。会社の規模にもよりますが、若い優秀な人材に賃金の10%程度の賞与を支払ったからといっても、会社の売り上げに与えるインパクトは限定的でしょう。むしろ、やる気のある従業員のモチベーションアップや優秀な人材を獲得する費用と考えれば安いものです。

 こうした環境を構築するためには、仕事の役割を明確にした段階で、そのポジション(ロール)に必要な権限を譲渡することが大切です。第3回の「コミュニケーションを最適化する」でも紹介した通り、権限を譲渡して情報格差をなくせば、組織はフラットになります。あとは頑張った人が報われるよう、賞与で応えていけばよいのです。

正社員と外部スタッフの教育機会を均等にする

 次に雇用契約と業務委託について考えてみましょう。

 現在、ほとんどの日本企業は、雇用契約をしている正社員と業務委託をしている外部スタッフの間で異なる賃金制度を設けています。正社員であれば給与と賞与はもちろん、福利厚生や社員教育といった部分も会社が負担します。一方、外部スタッフは報酬のほか、教育は現場のOJT(On the Job Training) だけで、それ以外は自己研鑽しなければなりません。しかし、教育のチャンスを得られるかどうかで、その後のキャリアや報酬に大きな “格差”が生まれてしまいます。

図2(出典:KADOKAWA Connected)
図2(出典:KADOKAWA Connected)

 上の図2を見てください。左側が現在の雇用形態です。筆者はこうした教育機会格差は、プロジェクトを遂行するうえでネックになると考えています。なぜなら、DXプロジェクトはその雇用形態に関係なく、さまざまなスキルを持った人材が参加し、チームとして働くものだからです。ここで教育格差によってスキルや能力の足並みが揃わなければ、プロジェクトにも支障を来します。

 今後は正社員であっても雇用の安定性が補償されるとはかぎりません。「企業の正社員」「外部スタッフ」という枠組みは意味を持たなくなるでしょう。正社員という身分は、福利厚生を享受できる程度のものです。

 個人のスキルや能力を評価するのは、最終的には市場です。会社という狭い世界しか通用しないスキル――たとえば、組織内の政治力に長けるなど――を身につけたとしても、仕事人としての成長は望めないのです。KADOKAWA Connectedでは外部の業務委託スタッフに対しても、教育に関する部分は会社が金額を負担するような制度を整えています。

 余談ですが、KADOKAWA Connectedには「新卒手当」があります。これは入社初年度に4万円、2年目に5万円、3年目は3万、4年目が2万円、5年目では1万円を毎月支給する制度です。

 新卒手当の目的は「自己研鑽」で、会社が社員の自己投資を負担するという考えに則っています。使用用途は問いません。資格取得のために利用してもよいし、通勤時間がもったいないと考えるなら会社近くに住むための家賃に使ってもかまいません。すべての決定は社員に委ねられます。

 新卒手当制度で特徴的なのは、段階的に支給金額を下げている点です。これは、「5年以内に給料を自力で上げて新卒手当分を相殺できるだけ稼げるようになりましょう。期待しています」というメッセージなのです。何もしなければ、毎年手取りは減少します。ちなみに、2年目が1年目より多いのは従業員が支払う税金が高くなるからです(笑)。

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