さて、今回はデータセンター移転の最終回です。これまでの6回では、誰もがご存知の「家の引っ越し」になぞらえながら、データセンター移転の進め方を眺めていきました。
第1回:新居となるデータセンターにともに住む「家族」となる「収容予定のシステム」の計画を洗い出そう
第2回、第3回、第4回:引越先のデータセンターに求めるスペックの考え方と検討ポイント
第5回:「引越先データセンターに持っていくもの、捨てるもの、引越先で買うもの」の整理の方法
第6回:引越実施計画の立て方~スケジュール、計画、見積もり
今回は、ここまでにご紹介しきれなかったトピックとして、データセンター移転によくある「困りごと」として、住まいの引っ越しにはあまりない「規模」や「期間」に関する課題を見ていきましょう。
1.とにかく関係者が多すぎる!
ある1つのシステムを変更する、そのためにメンテナンス時間を設けてサービスを停止する、という場合であれば、システム担当者や主管となる部門が、決まったプロセスにしたがって関係者への調整を実施します。調整は、実際の変更作業を行うベンダーやシステムインテグレーター(SIer)、パートナーと、変更によって影響を受けるシステムの利用側、その双方に対して必要です。
ところがデータセンター移転の場合、その必要性が「システム数×移転回数」となります。相当な回数ですね。
データセンター移転では、このように多岐にわたる、多数のメンバーに対して、必要な計画を過不足なく共有する必要があります。連携漏れが発生すると、最悪の場合ビジネスに影響を及ぼすことも考えられます。ここは関連するメンバーを事前に洗い出し、「誰に誰がコンタクトをするのか?」「どのような情報を必要としているのか?」を整理しましょう。
システム部門については、第6回の「計画を家族=システムと共有しよう」でご紹介したように、全体のスケジュールや移転時期の案などをまとめた移転計画書を説明する会を全体または部門単位などで実施します。ここで概要を共有したあと、時期が近いものから順にそれぞれのシステムの具体的な実施計画を進めていきます。