企業が集めるデータは、日々増え続けている。そして、データの収集方法を確立する役割はIT部門が担当していることが多いものの、その情報を実際に活用するのは、それぞれの事業部門の人々の仕事だ。しかし、調査会社Gartnerは、保有するデータを最大限に活用できるだけのデータリテラシーを持っていない企業は、全体の50%に上ると予想している。
Gartnerは、ほとんどの日常業務では、データを共通語のように扱う能力が必要不可欠になりつつあると述べている。では企業として、スタッフが自信を持ってデータを扱い、分析し、議論できるようにするためにはどうしたらいいだろうか。この記事では、4人のITリーダーから、データリテラシーを高めるためのベストプラクティスについて話を聞く。
1.情熱を持っている人材を探す
ICS Groupの最高製品・情報責任者であるIan Cohen氏は、組織の中にデータリテラシーを育てることの重要性は認識しているものの、それを強制することはできないと考えている。
「やりたくないことを、無理にやらせることができるとは思っていない」とCohen氏は言う。「ある日突然、『今週はチーム全員のデータリテラシーを向上させるので、この教育プログラムを動かして、全員に授業を受けさせる』などとやってはいけない。なぜなら、そんなやり方はうまくいかないからだ」
通常は、何かに興味を持っていて、それに引き寄せられる人たちが見つかるものであり、そうでない人に無理強いをしても続かないとCohen氏は述べている。データリテラシーを高める役割を担っているのであれば、まずデータに関心がある人材を見つけ、それらのもともと興味を持っている人たちが、やりたいことをしやすい環境を作るべきだという。
「結局は人材開発の話に戻ってくる。人の長所を伸ばしたり、すでに得意としていることをやらせる方が、弱点を補うよりもずっと容易だ」とCohen氏は言う。「つまり、何かに情熱を持っている人を後押しするべきだ。存分にその情熱を傾けられるようにすれば、さらに熱心になるだろう」
そうすることで、最初は魅力を感じなかった人にも興味を持たせることができるかもしれないとCohen氏はいう。
「もともと熱意のある人材を見つけて、さらに熱中させ、その熱意を可視化することで波及性を持たせる。それを周囲にも見せて、簡単かつ単純に結果が出ることを示すべきだ。そうすれば人が集まってくる」