Googleと、「Ubuntu Linux」の開発元であるCanonicalは、GoogleのUIフレームワーク「Flutter」を用いてLinuxデスクトップ向けのアプリを開発できるようにする取り組みを続けている。この協力の成果として、開発者がFlutterでLinuxデスクトップアプリを開発し、Canonicalのアプリストア「Snap Store」で公開できるようになっている。
Flutterは「iOS」や「Android」「Fuchsia」向けのアプリや、ウェブアプリのためのUIフレームワークであり、デスクトップアプリにもその対象を広げようとしている。Flutterを用いることで、単一のコードベースで複数のプラットフォームを対象としたアプリを開発できるようになるとされている。
開発者は、Linuxマシン上でFlutterを用いてiOSアプリやAndroidアプリを開発できるようになっているが、今回Flutterを用いてLinuxアプリを開発し、Snap Storeを通じて配布できるようになる。
GoogleのChris Sells氏とCanonicalのKen VanDine氏は共同執筆したブログ記事に、「Canonicalは、FlutterにLinuxデスクトップ向けサポートを追加することで、アプリ開発者が自らのアプリをSnap Store経由でLinuxユーザーに公開しやすくする」と記している。
さらに、「Canonicalは、LinuxをFlutterのファーストクラスのプラットフォームにすることで、アプリケーション開発者を招き入れ、彼らのアプリを膨大な数のLinuxユーザーに向けて公開してもらい、高品質なアプリケーションを幅広いユーザーに届けられるようにしたい」と記している。
デスクトップ版Linuxに対するサポートは、Flutterの対象プラットフォームをモバイル機器のみからデスクトップにまで拡大するというGoogleのクロスプラットフォームUIフレームワークの構想が新たな段階に入ったことを示すものだと言える。
Googleは2019年5月、Flutterの対象プラットフォームをモバイルからデスクトップに拡大すると発表した。デスクトップ向けは現時点でテクニカルプレビュー版だが、「macOS」向けはアルファ版がリリースされており、FlutterのソースコードをmacOSのネイティブなデスクトップアプリとしてコンパイルできるまでになっている。なお、今回発表されたLinuxサポートはアルファ版となっている。
Flutterの「Windows」サポートは現在進められているが、FlutterチームはMicrosoftのAndroid搭載スマートフォン「Surface Duo」や「Windows 10X」だけでなく「Win32」アプリに対するサポートについても作業中だという。
Flutterの対象プラットフォームをデスクトップに拡大する最近の作業には、Flutterエンジンに対するリファクタリングによってマウスやキーボード入力をサポートし、トップレベルのウィンドウのサイズ変更を可能にするといったものも含まれている。
Canonicalによると、Flutterエクスペリエンスを多くのLinuxディストリビューションにもたらすために、Googleの開発者と連携する開発者チームを用意してFlutterをサポートしているという。
またCanonicalは、Linuxに対するサポートを強化するとともに、その他の対象プラットフォームとの機能の互換性を維持するために、Googleと連携していくことになる。
両氏によると、CanonicalがFlutterを高く評価しているのは、アプリケーション開発者のエコシステムの急成長や、複数プラットフォームのサポート、最適化されたネイティブアプリ、宣言的/リアクティブ/コンポーザブルなウィジェットをサポートするモダンなUIフレームワーク、Microsoftの「Visual Stuidio Code」(VS Code)や「Android Studio」「IntelliJ」を活用するリッチな開発プラットフォームという点だという。
Flutterのチームによると、Flutterを利用している開発者は月単位で「50万人近く」に上っている。また4月には、「Google Play」ストアでFlutterを用いて開発された「Android」アプリが約5万本公開されているとしていた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。