BCPを策定済みであると回答した人のうち、コロナ禍でBCPが「効果的に機能」との回答は16.7%にとどまった。一方、「あまり機能しなかった」(23.3%)、「まったく機能しなかった」(4.3%)と、BCPが機能しなかったとの回答は計27.6%。BCPが機能しなかった理由としては、自社BCPにおける想定や前提と異なっていたためとの意見が多くを占めた。

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以下は「機能しなかった」理由の抜粋。
- 3密対策まで配慮してなかった
- ウイルスの関係で緊急事態宣言などが発令される前提がなかった
- ある程度は機能したが、全世界でこうした事態になるのまでは想定していなかった
- これほど大規模かつ長引くことを想定していなかったので、やや準備不足
- 全員がリモートワークすることへの想定はなかったため、現場まで全員が使用するシステム環境になかった
- 感染症を前提としてものでなかったため、社外からの社内システムアクセスができず、ほとんどの社員はテレワークができなかった
コロナ禍において自社のBCPが「効果的に機能した」との回答は約17%にとどまり、「機能しなかった」との評価が約28%にのぼる。BCPが機能しなかった理由としては、「自社BCPでは想定外であった」とする意見が多くを占め、全世界規模で長期的に影響を及ぼす新型コロナウイルス感染症に対して、既存のBCPでは十分な対応を講じることが困難だったことが推察できるとしている。
既存のBCPを見直し、さまざまなリスクに包括的に対応できる「オールハザード型」へと転換していく必要性が従来以上に高まっていると指摘する。調査結果からも、今回のコロナ禍を踏まえてBCPを策定、見直しした企業で感染症以外のリスクにも検討の対象を拡大している傾向が明らかになっており、オールハザード型を意識したBCPの策定が進みつつある表れではないかと考えられるとしている。
今回のパンデミックでグローバルレベルでサプライチェーンの混乱に見舞われた企業も少なくない。こうした状況の中で一部の企業は、「海外生産拠点の切り替え」「物流経路・方法の変更」「原材料・部材在庫・商品在庫の積み増し」「新規事業への参入」といった企業戦略そのものに大きな影響を及ぼす取り組みに着手している。こうした企業の70%以上が自社の対応を効果的だったと評価しており、多くの企業においても中長期的視点から取り組むべき課題であると考える。