ローコード開発製品を提供するOutSystemsジャパン(港区)は11月18日、記者会見を開催。アプリケーション開発の現状をまとめた年次調査レポート「Speed of Change」の調査結果を発表し、前田建設工業の事例も披露した。
ローコード開発プラットフォームである「OutSystems」について代表取締役社長 Arnold Consengco(アーノルド・コンセンコ)氏は、「開発から運用までの全ライフサイクルをカバーできるのが利点。日本は2025年に迎える人材不足や(経済産業省の)DXレポート、SAPショックなどがある。重要なのはアジリティ(敏捷性)」だと、多くのレガシー環境を抱える日本企業に容易な開発環境の導入をうながした。
また、Consengco氏はコロナ禍におけるリモート開発の必要性を説き、「(コロナ禍で)モダンソフトウェア開発の要求がますます高まった。(自社ソリューションで)2025年問題を解決できると思う」と語った。
(左上から時計回りで)前田建設工業 情報システム総合センター長 廣田憲治氏、OutSystemsジャパン マーケティングマネージャー 山之内真彦氏、BlueMeme 代表取締役 松岡真功氏、OutSystemsジャパン 代表取締役社長 Arnold Consengco氏
リーダーとラガードの違い
OutSystemsがコロナ禍初期段階である2月初旬~3月下旬に日本を含む6大陸に在住する2200人のITプロフェッショナルやシニアITリーダーを対象に調査した。調査から「77%がアプリケーション開発のスピードが遅くて、追いつけていないと回答し、23%が変化への対応力に自信があり、スピードを実現できていると回答した」(OutSystemsジャパン マーケティングマネージャー 山之内真彦氏)
同社は「アプリケーション開発のスピードが遅くて、追いつけていない」をイノベーター理論における“ラガード(遅滞者)”、「変化への対応力に自信があり、スピードを実現できている」を“リーダー(ここでは牽引者の意)”の2種類に分類し、その違いを調査した。
ラガードとリーダーが掲げる課題の上位は「レガシーシステムとの連携」「あいまいな要件/要件の変更」と同じながらも、3位以下はリーダーが「フロントエンド開発」「UI/UXデザイン」、ラガードは「開発者のスキル不足」「新しい技術や標準の習得」と大きく異なる。山之内氏は「リーダーは顧客に焦点を当てているが、ラガードは組織内に焦点を当てている」と指摘する。
山之内氏はリーダーの特長として、「ソフトウェアプロジェクトのデリバリーやソフトウェアのリリースとアップデートが早い。また、デザイン思考やデザインスプリント、顧客ジャーニーマッピングなどに投資している」と説明、ラガードの特長としては「アジャイル手法に関心があり、RPA(ロボティックプロセスオートメーション)に投資しているものの、リーダーが投資する分野から目を背けている」と指し示す。
これらの状況を覆し、アジリティを身につけるために山之内氏は「組織は顧客に焦点を当て、変革を実現するために簡単で、より早い道筋を開発者に提供しなければならない」と提案した。具体的には「UX(ユーザー体験)から着手する」「変更を想定して開発する」「新しいスキルを追加する」「継続的なデリバリーにフォーカスする」「レガシーシステムとの統合」の5項目が欠かせないという。