山口県長門市と日立システムズは、長門市内の観光施設や地元企業約30社の協力を得て、新型コロナウイルスの感染拡大防止と観光産業活性化の両立を目指す実証実験を11月から実施している。
この実験は、長門市が日立システムズと協力して整備した市内の主要な観光地7カ所にある「ながとフリーWi-Fi」を活用し、観光客の属性に合わせた周遊プランや観光エリアごとの混雑状況などの情報をプッシュ型で配信するもの。ながとフリーWi-Fiは、アンケートへの回答など簡単な手続きのみで利用できるという。
実証実験のイメージ(出典:長門市、日立システムズ)
同市は日立システムズと包括連携協定を締結し、データ活用による観光振興の実現を目指している。その中で、ながとフリーWi-Fiにおける利用データの分析から、観光客の約95%が主要な観光地の1カ所にしか立ち寄っていないことが判明した。
プッシュ配信されるメッセージのイメージ(出典:長門市、日立システムズ)
こうした背景を踏まえ、観光スポットや混雑状況の確認だけでなく、ながとフリーWi-Fiの利用時に入力するアンケート回答に基づいて、観光客の属性に合わせた周遊プランをプッシュ配信する。
周遊プランの情報には近隣の観光エリアの各種情報がリアルタイムで配信されるため、当初は予定に無かった観光地や飲食店などへの訪問を促すことが可能となる。また、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、現在混雑している観光エリアの情報を配信対象から除外し、逆にそうしたエリアにいる観光客にはリアルタイムの混雑状況を通知するなど、観光客が安全に楽しめる旅をサポートしていく。
「デジタル技術を活用した経済活性化」の概要図(出典:長門市、日立システムズ)
長門市と日立システムズは、今回の実証実験を通じて「配信情報によって観光客の周遊行動にどのような変化が起きたか」「三密を回避できるよう観光エリアの混雑を分散できたか」などを分析する。また、ながとフリーWi-Fiから収集される情報をはじめ、ビッグデータを活用して長門市内の人流を分析することで、今後の観光振興施策につなげていく。