インフォア、新年度の国内経営方針を発表--クラウド推進を加速

藤本京子

2020-12-04 10:00

 インフォアジャパンは12月3日、新年度の経営方針について会見を開催した。説明にあたったのは、11月に同社の代表取締役社長に就任した三浦信哉氏。同氏がインフォアジャパンの代表取締役社長に就任するのは今回が2度目となる。

 三浦氏はまず、2020年の実績を振り返り、クラウドの契約数が対前年比で2倍以上成長し、売り上げが67%増となったことを明らかにした。オンプレミスの契約は38%減となったが、「これは想定内」と三浦氏は述べ、オンプレミスおよびクラウドのトータルでの契約数は37%増だったとしている。オンプレミスからクラウドへの移行は順調で、現在の比率はクラウドが61%、オンプレミスが39%となっている。

 導入サポートなどのサービス事業も前年比で2倍以上成長し、売り上げは18%増となった。また、2020年はパートナーの開拓にも力を入れ、新たに9社のパートナーと契約。うち2社はクラウドビジネスのパートナーだという。これにより、直販とチャネル販売の比率は、直販が79%、チャネル販売が21%となった。三浦氏は2019年に「3年後にはチャネル販売を25%にまで引き上げる」と公言しており、今回の数字からもチャネル販売への移行が順調に進んでいることが分かる。

 また三浦氏は、過去4年間の国内の売り上げが継続して2桁成長を続けているとし、4年間でサービスの売り上げは120%増、SaaSの売り上げは520%増、保守の売り上げは13%増、総売上が67%増となったことをアピール。「Infor本社がSaaSへのシフトを推進していることと、デジタルトランスフォーメーション(DX)に向けた時代の流れとの相乗効果により、特にSaaSの売り上げが顕著に伸びている」とした。

2020年度の実績 2020年度の実績
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2021年の重点施策

 2021年の施策については、日本市場でのクラウドソリューションの実績を拡大し、現在まだ実績のないケミカル業界と、エッジソリューションであるエンタープライズアセットマネジメント(EAM)において、「2021年の早い段階で実績を作る」としている。

 また、導入に関するイノベーションとして、価値をより早く届けるための施策となる「Infor Agile」を推進する。これは、業務プロセスのコアとなる60%にパッケージの標準機能を適用し、差別化プロセスとなる30%にはきめ細かなチューニングやコンフィグレーションを実施、それでも対応しきれない残り10%の特有プロセスに拡張機能などを施すという手法だ。「これにより、顧客が実現したいあるべき姿に、迅速にたどり着けるようにする」と三浦氏は話す。

 この手法を実現するため、「Implementation Accelerator」というツールも用意し、60%、30%、10%の割合を定義する。この成功事例として三浦氏はワタミ(参考記事)を挙げ、「このツールによってプロセスを定義したところ、ワタミではプロセスの90%を標準機能で実装でき、期限通り予算内にプロジェクトを終えることができた」としている。

導入に関するイノベーション 導入に関するイノベーション
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継続的に2桁成長を目指す

 さらに今後の成長目標について三浦氏は、「2桁成長を維持し、2023年までに売り上げを50%成長させる。そのために、クラウドとオンプレミスの比率を80対20とし、直販とチャネル販売の比率を70対30とする。直販の比率は下がるが、売り上げを下げるのではなく、両チャネルでの成長を目指す」としている。

 基本戦略としては、クラウドフォーカスとインダストリーフォーカスを推進する。これを中心に、「既存顧客に対しては、オンプレミスからクラウドへの移行を促すような施策を打ち出す。また、新規顧客の獲得に向け、フォーカスする業界の中でまずは確実に数社と契約し、そこから横展開する。業界特化型の組織も立ち上げ、業界スペシャリストの採用も進める。差別化要素としては、周辺のエッジソリューションが充実していることを強みとして展開するほか、導入のイノベーションにも注力する。パートナーエコシステムも拡充し、2025年までにクラウドパートナー25社増、アライアンスパートナー5社増を目指す。認定コンサルタント制度も強化する」(三浦氏)という。

 ソリューション戦略としては、インフラやデータセンターへの投資はせず、共通プラットフォームや目的別のアプリケーション、分析などの分野に注力する。「共通プラットフォームの『Infor Operating Services』では、ワークフローやID管理、ドキュメント管理、開発プラットフォームなどをクラウドスイート内に組み込んで提供する。また、目的別アプリケーションでは、業界に特化した機能を提供し続けてきた18年間の強みが評価されている。さらに、クラウド内に蓄積したデータを現場や経営にフィードバックする基盤として分析ソリューションを用意し、データドリブン経営をサポートする」と三浦氏は説明している。

インフォアジャパンの基本戦略 インフォアジャパンの基本戦略
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