米国家経済会議(NEC)の次期委員長に指名されたBrian Deese氏が米国時間1月12日午前、「CES 2021」のセッションに登壇し、Joe Biden次期大統領の基本方針は、国内インフラと米国経済に投資することで、中間層が「経済的な尊厳」を持つことを可能にし、経済的な目標を達成できるようにすることだと発言した。
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Deese氏は、全米民生技術協会(CTA)のプレジデント兼最高経営責任者(CEO)Gary Shapiro氏とのパネルディスカッションで、テクノロジーやイノベーション、米国の競争力に対する新政権のアプローチについて語った。
Obama政権で上級顧問を務め、その後資産運用会社のBlackRockで持続可能な投資に関するグローバル責任者を務めたDeese氏は、近年は多くの分野で政府投資が不足しており、これには研究開発や製造業も含まれていると述べた。同氏によれば、Biden政権は民間企業との連携を強めていくつもりだという。
Deese氏が就任するNEC委員長は閣僚級の地位であり、同氏は今後、米国の経済政策に関する意思決定に関与していく立場にあると述べた。
Shapiro氏はDeese氏に、経済再生のためにテクノロジー業界が果たすべき役割について尋ねた。Deese氏は、新型コロナウイルスワクチンは米国のイノベーションやテクノロジーの証だと述べた上で、ワクチンを実際に接種するまでの運営上の課題は「わが国の歴史において、もっともコストが高く複雑な問題の1つになるだろう」と指摘した。
同氏は、テクノロジー企業は、国民に正しく情報が届くようにすることで、公衆衛生面での対応に貢献できるはずだと話した。
またDeese氏は、「次期大統領は学校の安全な再開についても議論している。これはわが国の経済にとっても、子どもたちにとっても極めて重要な問題だ」と述べ、「ブロードバンド、そしてデジタルデバイドを埋めることが非常に重要となる場だ」と付け加えた。
イノベーション、雇用、脱炭素化の促進
Deese氏は、新政府と民間部門や同盟国との連携について繰り返し触れた。また同氏は、経済危機の最中にあっても、米国経済が抱えているさまざまな不平等を解決する必要があると強調した。これは、それらの不平等が「経済の潜在能力を阻害している」ためだという。
また、それらの不平等を解決して(経済の)回復力を取り戻し、インフラと雇用を成長させ、低炭素経済の実現を軌道に乗せたいと考えているとDeese氏は述べた。今回の危機は、有色人種の企業により大きな悪影響を与えているという。
同氏は、これらの企業の「助走路」を作れるような形で投資を行い、これらの企業が資本にアクセスできるようにすることで、国内経済により多くのイノベーションを生み出す必要があると述べた。
また、Biden政権の基本方針は成長の果実を社会全体で広く共有できるものだと繰り返した。
Shapiro氏がその基本方針をどのように実現するのかと尋ねると、Deese氏は、気候変動の危機や人種間の公平性の問題を解決するために、自分たち自身がこれまでとは違うやり方を試みていくつもりだと答えた。
同氏は「人々に寄り添う」ことが重要であり、「多くの政策は設計段階ではなく、実行段階で失敗する」と述べ、目標はツールやテクノロジーを使ってトレーニングプログラムを必要としている労働者にそれを提供することだと話した。