空間全体をサイネージ化--パナソニック、「AcroSign Version 3.0」開発

大場みのり (編集部)

2021-01-26 09:21

 パナソニック システムソリューションズ ジャパンは1月25日、デジタルサイネージソリューション「AcroSign」の機能を強化し、空間全体をサイネージにする「AcroSign Version 3.0」を開発したと発表した。それに伴い同日、説明会が開催された。

 従来のデジタルサイネージは16:9の画面比率を持つディスプレイを用いるのが一般的だったが、同バージョンでは、米国に本社を置くBrightSignのコントローラーにより、プロジェクターなどのデバイスを使いながら、空間全体で情報を発信したり演出を行ったりすることができる。

 説明会の中で行われたデモンストレーションで、同社 サービスインテグレーション本部 コンテンツ・メディアサービス部 部長の佐村智幸氏は、映像が空間全体に映し出されている様子を紹介(図1参照)。3つのプロジェクターを活用し、重ね合わせて投影しているという。これまでは映像がずれないよう、サーバーやプロジェクションマッピングのソフトを使っていたが、同バージョンではそうした機器が必要ない。これにより、近年のデジタルサイネージシステムと同様に、クラウドからコンテンツの配信や変更、管理ができる。

図1:空間全体をサイネージにするデモの様子
図1:空間全体をサイネージにするデモの様子

 AcroSign Version 3.0では、従来のWindowsのコントローラーに加え、BrightSignのコントローラーが2種類採用されている(図2参照)。同社のコントローラーは映像表現力が高く、例えば空間全体に映像を映し出す際に必要となる「同期再生」を強化できるため、採用に至ったという。

 そのほか、BrightSignのコントローラーにより、映像に別の映像/文字を重ね合わせるクロマキー合成や、ピクチャーインピクチャーが可能となる。

 最近は、通行人の属性やその時の天気からコンテンツ内容を柔軟に変化させるデジタルサイネージが求められている。だがその場合、作り手がさまざまなパターンのコンテンツを作らなければいけないという課題があった。クロマキー合成では、例えば雨が降っている時、女性がポーズを取っているメインの映像に「雨でも髪がまとまる」とうたうドライヤーの映像を組み合わせることができる(図3参照)。

 ピクチャーインピクチャーでは、メインの映像を流しながらアバターや担当者がユーザーを案内することが可能。説明会では、ファストフード店においてドライブスルーで商品を注文するという設定でデモが行われた(図4参照)。そして、来店客がメニュー表が映し出されているデジタルサイネージの前に移動すると、猫のアバターが現れる。店の担当者は、アバターを通して遠隔からオーダーを取ることができる。これにより、コロナ禍の現在求められている「非対面」も可能となる。アバターには、笑顔といった担当者の表情も反映させることができる。

図4:アバターを通した接客のデモの様子 図4:アバターを通した接客のデモの様子
※クリックすると拡大画像が見られます

 AcroSign Version 3.0のターゲットは、大型複合施設、駅/空港、スタジアムなどの大規模空間から、学校やオフィスビルなどの中/小規模空間と、幅広く想定している(図5参照)。大規模空間ではプロジェクターやLEDパネルも活用する一方、小型空間ではディスプレイのみで構築する。またライトユーザー向けに、機能をある程度絞り込み、簡単にコンテンツを配信できるソリューションの発売も検討しているという。

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