日本オラクルは3月3日、財務領域における人とロボット・AI(人工知能)の関係についての調査に関する説明会を開催した。同調査は、米Oracleと個人金融の専門家であるFarnoosh Torabi氏が共同で実施したもので、説明会では主に日本での結果に焦点を当てた。
今回調査対象となったのは、米国、英国、ドイツ、オランダ、フランス、中国、インド、オーストラリア、ブラジル、日本、UAE、シンガポール、メキシコ、サウジアラビアの14カ国の一般消費者と企業・団体の管理職以上で合計約9000人。日本からは500人が調査に参加した。
説明に当たった日本オラクル クラウド・アプリケーション事業統括 事業開発本部 本部長の野田由佳氏によると、財務管理において自社の財務部門よりもロボットやAIを信頼すると回答した企業・団体の管理職の割合は日本では94%に上り、「14カ国中最上位だった」という。今回の調査全体の平均値は77%だったことから、日本の管理職がロボットやAIを高く信頼していることが分かる。
日本はロボット・AIへの信頼度が世界首位
また、85%がロボットやAIで業務改善できると考えており、改善を期待する領域としては「不正の検知」(33%)、「請求書の作成」(27%)、「コスト・利益の分析」(18%)などの割合が高い。さらに、83%が財務管理の支援をロボットやAIから受けたいと回答しており、支援を受けたい領域として「予算編成と予測」(45%)、「レポート」(35%)、「コンプライアンスとリスク管理」(31%)、「承認業務」(27%)などを挙げている。
このように、ロボットやAIに対する信頼や期待が高い一方で、実際にこうした技術を財務管理に活用しているかを聞くと、14カ国の平均は51%と半数を超えていたにもかかわらず、「日本は27%で14カ国中最下位だった」と野田氏。
また、コロナ禍での対応として、新しい顧客エンゲージメントの創出やビジネスモデルの変更に取り組んでいると回答した率も日本は低く、14カ国の平均が64%となる中、日本は38%と最下位。デジタル決済機能に投資していると回答した割合も14カ国の平均が69%、日本は41%で13位だった。
日本ではテクノロジーの活用度が低い
このことから野田氏は「日本ではロボットやAIに対し前向きに捉えているにもかかわらず、取り組みそのものは進んでいない」と指摘。その背景を分析したところ、人材獲得に苦労していることやどこから始めていいのか分からない、投資対効果がはっきりしていないため手を付けられないといった理由があることも分かったという。