人工知能(AI)が、製造業でさまざまな役割を果たすことは周知の通りだが、Google Cloudが実施した新しい調査で、企業がAIを活用した技術にどれだけ投資しているかが明らかになった。世界的に見た場合、メーカーはIT支出全体の36%をAIに割り当てている。またメーカーの4分の1は、IT支出の半分以上をAIに投資していた。
既に、世界のメーカーの64%が日々の業務でAIに依存している。さらに、日々の業務でAIを使用しているメーカーの66%は、AIへの依存度が高まっていると回答した。
この調査はGoogle Cloudの委託を受けて、The Harris Pollが2020年10月15日~11月4日にオンラインで実施したものだ。7カ国(フランス、ドイツ、イタリア、日本、韓国、英国、米国)で製造業の上級幹部1154人を対象に行った。
新型コロナウイルスのパンデミックが、メーカーがデジタル技術を導入する大きな動機となっていることが調査で分かった。回答者の76%が、この危機をきっかけに、データアナリティクスやクラウド、AI、ロボティクス、3Dプリンティング/付加製造、IoT、拡張現実(AR)/仮想現実(VR)などの技術の利用が拡大していると述べた。
AIの利用が増加している一方、まだ成長の余地があることが調査からうかがえる。日常業務でAIを使用していないメーカーのうち、37%が従業員の効率が上がり、31%が従業員全体に役立つと考えているからだ。
Googleはレポートの中で、「AIの広範な普及に向け、鍵となるのは導入しやすさと使いやすさだ」とし、「製造業が現実世界の問題を解決する上でAIが広がりを見せるようになる中、(試験段階で苦しむ)『パイロットパーガトリー』から『AIのゴールデンエイジ』への移行が見られる。大量生産の時代から、リーン生産、シックスシグマ、そして最近ではERP(企業資源計画)まで、この業界はイノベーションに精通している。そして今、AIはさらなるイノベーションを提供するだろう」と述べている。
製造業は、公共部門、金融サービス、ヘルスケア、小売、通信/メディアとともにGoogle Cloudが2019年に成長の鍵として特定していた6つの業界の1つだ。その後、Google Cloudは業界のエキスパートを採用し、専門性を高めようとしてきた。また、SiemensやFord、Renaultなどのメーカーが顧客となっている。