Google Cloudは米国時間7月26日、「Google Cloud」や「Google Workspace」「Googleマップ」プラットフォームを利用する法人顧客が利用する重要なAPI群を、「Google Enterprise APIs」という名称の下、新たな原則に従って運用していくと発表した。この原則により、Enterprise APIsは、機能変更がもたらす顧客への影響を最小限に抑えるかたちで運用されるという。
GoogleのGoogle Cloudおよびテクニカルインフラ担当バイスプレジデントKripa Krishnan氏は米ZDNetに対して、「われわれは、顧客側で対応が必要となるような、これらのAPIへの破壊的な変更を(実質的に)極めて起こしにくくする」と述べた。
同氏は、「Google Cloudでここ数年、私たちは時間をかけて、当社のプラットフォームで顧客の体験を改善しようとしてきた」とし、「そして、これは新たなステップにすぎない。特に当社のAPIの安定性に関して、私たちがどのように顧客をサポートするかという点で批判もあった。例えば、通知なくAPIを削除する、あるいは顧客が対応する時間を十分に取らないといったことだ。そのため、私たちはそのような問題に対応しようとしている」と話した。
まず、Enterprise APIsは、顧客が積極的に利用している機能については削除しない(あるいは後方互換性を維持できないような変更を実施しない)という原則に従う。廃止、あるいは互換性のない変更が避けられない場合、Google Cloudは可能な限り、移行作業を容易にするよう努める。この原則の例外は、該当機能がセキュリティや法律、知的財産(IP)上の重大な影響を引き起こす場合のみとなる。
また、予定されている変更について、遅くとも1年前までに顧客に対して通知する。また、同等の機能と性能を有する新バージョンが利用可能な場合、移行のためのツールやドキュメントといったリソースを顧客に提供する。Google Cloudは、顧客の利用量を可能な限り減らすために顧客とともに作業していく。
さらに、APIへの変更については、製品やエンジニアリングの責任者で構成される中央審議会でレビューした後、製品ライフサイクルの厳格な評価に従う。
「イノベーションが活発な分野では頻繁な変更が必要になると考えているが、顧客の作業を増やすことは望んでいない」とKrishnan氏は言う。
同氏は、「(Enterprise APIsの原則は)人々が機械的に遂行するような一連の手順を定めたものではない」と述べ、そうではなく「組織のマインドセットのシフトだ(中略)われわれは一層、顧客中心のアプローチに向けて舵を切ろうとしているところだ」と話した。
Googleはこうした変更を、Google Cloud全体で過去数カ月間にわたって試行し、顧客諮問委員会の1つで審議してきた。そして現在、Enterprise APIsは「APIライブラリ」と「Google Cloud Marketplace」に掲載されている。
Googleは企業との関係強化を進めるため、このほかにも、「Mission Critical Services(MCS)for GCP」というコンサルティングのようなプレミアムサービスを導入している。また、製品ロードマップの見通しを把握しやすくするため、リリースのステップをシンプルにするなど取り組みを実施している。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。