最高情報責任者(CIO)がもっともよく使う言葉の1つに「バリュー」がある。現代のITリーダーは、事業部門が求めるテクノロジーから最大のリターンを生み出すことに全力を挙げている。
PMIのVoegele氏は、「テクノロジーを事業戦略を加速する要素として組み込んでいく必要がある」と話す。
提供:PMI
たばこ会社のPhilip Morris International(PMI)で最高デジタル・情報責任者を務めるMichael Voegele氏も同様の考えを持っている。同氏は、テクノロジーによってビジネスを変革しようとする取り組みは、IT部門がバリューの実現を目指さない限り意味がないと述べている。
Voegele氏によれば、IT部門は、事業部門が直面する課題を解決するための技術的な対応を対症療法的なアプローチでつぎはぎするよりも、事業部門と協力しながら積極的に取り組みを進めるべきだという。
「テクノロジーを事業戦略を加速する要素として組み込んでいく必要がある」と同氏は言う。「解決しようとするビジネス課題や問題について、非常に早い段階から、各部門が対等の関係で話し合わなければならない」
PMIの幹部は、数カ月ごとに集まって話し合い、各ITプロジェクトにどう予算を割り当てれば、事業戦略を前に進め、長期的なバリューを実現できるかを判断している。
「私たちは部門横断的な思考法を確立しており、各部門の責任者が話し合って、どのプロジェクトがもっとも重要かを判断している」とVoegele氏は述べている。「これは抜本的な変化だ。私たちは、1年ごとに予算を割り当てるのではなく、四半期単位で物事を進める体制を確立している」
Voegele氏によれば、事業部門とIT部門の指標は、共通の目標に合わせて同じ方向に向かって設定されている。そうすることで、事業部門とIT部門の両方を含むPMI全体の、技術的なソリューションの導入に対する評価の仕方が大きく変わったという。
「今や重要なのは、決められた予算や時間内にプロジェクトを遂行することではない。重要なのは、『これらの技術的なソリューションを導入することで、市場における業績を改善できるのか、あるいは顧客のネットプロモータースコアを上げられるか』ということだ。無事に稼働させればそれでいいわけではなく、ビジネスケースに記述されているメリットを実現できるかどうかが問われている」と同氏は言う。