Amazon Web Services(AWS)は米国時間7月28日、同社最古のクラウドコンピューティングインフラサービスの1つである「EC2-Classic」を終了する計画を明らかにしている。同社はユーザーに対して、アプリケーションの中断を避けるために同サービスから移行するよう求めている。
同社のチーフエバンジェリストJeff Barr氏は、ブログで「EC2-Classicはわれわれに大きく貢献してきたが、退職記念の金時計を贈呈し、その名誉に値する、引退に向けた花道を用意した」と書いている。
EC2-Classicは「Amazon Elastic Compute Cloud」(Amazon EC2)の最初のリリース時に提供が開始されたものの、2013年12月以降に作成されたアカウントではサポートされていない。その時点以降、EC2インスタンスの起動には、論理的にAWSと独立した仮想プライベートクラウド(VPC)内での起動がユーザーに求められるようになった。
EC2-Classicでは、インスタンスは他の顧客と共有される単一のフラットなネットワーク上で実行される。
現在EC2-Classic上で業務を運用している組織は、期限までに移行を実施することになるが、Barr氏によると、AWS側は段階的なサービス終了計画を用意しているという。
同氏は、「われわれはこの移行を可能な限り円滑に、そして混乱を招かないようにしようとしているため安心してほしい。われわれは、どのワークロードに対しても混乱をもたらすつもりはなく、皆さんの計画とテスト、移行が可能となるよう十分なリードタイムを確保している」と述べた。
注意しておくべき日付は2021年10月30日と2022年8月15日だ。
10月30日にAWSは、アクティブなEC2-Classicリソースが稼働していないリージョンでEC2-Classicを無効化する。同日、AWSはEC2-Classicの1年間、及び3年間のリザーブドインスタンスの販売を終了する。
また同社は2022年8月15日までにすべての移行が完了し、EC2-Classicの全リソースがAWSアカウントからなくなっているものと見込んでいる。
EC2-Classicの顧客が注意しておくべき重要なAWSリソースは以下の通りだ。
- 稼働中、あるいは停止中のEC2インスタンス
- 稼働中、あるいは停止中の「Amazon RDS」データベースのインスタンス
- Elastic IPアドレス
- Classic Load Balancer
- 「Amazon Redshift」のクラスター
- 「AWS Elastic Beanstalk」環境
- 「Amazon Elastic MapReduce」(Amazon EMR)のクラスター
- 「AWS Data Pipeline」のパイプライン
- 「Amazon ElastiCache」のクラスター
- 「AWSリザーブドインスタンス(RI)」のインスタンス
- スポットインスタンスリクエスト
- キャパシティーの予約
EC2-Classicのリソースに依存しているサービスすべてを洗い出すのは簡単な作業とならない可能性があるため、AWSはアカウント内のEC2-Classicリソースを特定できるよう支援する「EC2 Classic Resource Finder」スクリプトをリリースしている。
また同社は、EC2-ClassicからVPCへのインスタンスやデータベースの移行を支援するために、「AWS Application Migration Service」(AWS MGN)も提供している。
EC2-Classicの顧客は、リージョン内での同サービスの無効化が「不可逆」であるという点に留意しておく必要があるが、リージョンでEC2-Classicを再び有効にする必要がある場合、AWSサポートに連絡してもらいたいとBarr氏は述べている。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。