本連載では、筆者が「気になるIT(技術、製品、サービス)」を取り上げ、その概要とともに気になるポイントを挙げてみたい。今回は、東京海上ホールディングスとSAPジャパンが共同開発する「中堅、中小製造業向けの新サービス」を取り上げる。
中堅、中小製造業向けの新たなサービスを共同開発へ
東京海上ホールディングスとSAPジャパンは先頃、中堅、中小製造業者が抱える経営課題を解決するとともに、デジタルトランスフォーメーション(DX)の実現を支援していくため、協業を開始したと発表した。
写真1:東京海上ホールディングス 取締役社長グループCEOの小宮暁氏
写真2:SAPジャパン 代表取締役社長の鈴木洋史氏
この協業により、東京海上グループが持つ企業の事業活動に関わるリスクデータとSAPジャパンが持つ企業向けシステムから得られる事業活動データを掛け合わせることで、中堅、中小製造業向けの新たなサービスを共同開発していく構えだ。(写真1、写真2)
両社は次の3つの分野で協業を推進していく。
1つ目は、「統合基幹業務システム(ERP)のデータ活用による商品、サービスの開発」だ。中堅、中小製造業の事業に関わるデータを集約し可視化するSAPジャパンのERPを、両社のネットワークを活用しながら普及していく。また、ERPに蓄積された企業の事業活動データと東京海上グループの事故データや保険料算出に関わるアルゴリズムを連動させることで、企業の事業リスクを洗い出し評価できるソリューションを共同開発し、データ連動型の保険商品や新たなリスクマネジメントサービスの提供につなげていく。
2つ目は、「サプライチェーンリスクに関わる商品、サービスの開発」だ。SAPジャパンのサプライチェーンマネジメントシステム「SAP Ariba Supplier Risk」に蓄積されたデータと東京海上グループが持つ事故データを連動させることで、企業のサプライチェーンリスクを洗い出して評価できるソリューションを共同開発し、データ連動型の保険商品や新たなリスクマネジメントサービスの提供につなげていく。
3つ目は、「IoTとスマートファクトリーに関わる商品、サービスの開発」だ。SAPジャパンのIoTとスマートファクトリー関連システム「SAP Asset Strategy and Performance Management」に蓄積されたデータと東京海上グループが持つ事故データや保険料算出に関わるアルゴリズムを連動させることで、機器設備や工場生産実行過程全般におけるパフォーマンス管理やリスク予兆検知につながる保険商品や新たなリスクマネジメントサービスの提供につなげていく。